地方だから大変なのではない
地方だからこそチャンスがある

 フランス、イタリア、スイスが対日黒字を稼ぎ続けていることを紹介しました。それでは、これらの国で主力輸出品を生産しているのは、都会でしょうか、地方でしょうか。ワインやチーズを考えても分かりますが、すべて地方なのです。スイスにいたっては、最大都市でも日本の県庁所在地程度の大きさしかありません。地方の企業が、地元らしさを生かして商品を開発し世界的に販売している、つまりグローカルに行動できている点に強みがあります。

 これに対して日本ではいまだに、マスコミが典型ですが、東京中心のナショナルな世界と、地方のローカルな世界の二項対立で物事が捉えられていて、「グローバル競争にローカルな魅力を生かす」という視点が、地方にも欠けているし、東京にはもっと欠けている。

 ですが、地方でも、九州や四国、北海道といった遠隔地では、次第にグローカルに行動する地場企業が増え始めています。それに対し東日本の各地は、人口4000万人と世界最大の首都圏マーケットに近過ぎて、その存在にスポイルされていますね。

 外国人の延べ宿泊者数を都道府県別に見れば、わずか7年前はどの県も同じく少なかったものが、この数年で大きな差が出来てしまっています。東北や北関東の伸びが低く、九州や北海道の伸びが著しい。日光を持つ栃木県や、大宮のある埼玉県の外国人延べ宿泊者数は、福岡県や長崎県に客を取られがちな佐賀県に抜かれているのです(注)。これは企業の意識と対応努力に大きな差があるからに他なりません。

(注)2017年観光庁データによる。
都道府県別外国人延べ宿泊者数(2017年1月~12月)
(資料:観光庁)
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 外国人客への対応と、高感度な消費ニーズに対応した「BtoC」への対応。話は違うようで、本質は同じです。顧客を見た経営、マーケットインの経営を行えず、供給側の思い込みを貫いて軍隊的に突っ走る経営、プロダクトアウトの経営を行っているほど、対応が遅れていくのです。そしてそうした企業ほど、女性の意思決定への参画が遅れています。本当は時代に合わない企業は競争の中で淘汰されていくものですが、首都圏という巨大市場の存在が、彼らの延命を助けてしまっている。私は全国を日々回って観察しているのですが、市場の縮小に先に直面した地方の企業の中にこそ、むしろ新たな市場を積極的に開発しようと、組織ぐるみのイノベーションに挑戦している企業は多い。そして、そうした新しい意識を持つ企業の多くが、女性をリーダーとして活用しているように見えるのです。