東京の大企業で働いても何も残らない
未来に残す地域をつくる女性たちに期待

 日本の田舎の代表ともいえる山陰の島根県(松江や出雲大社のある県)と、東京都を比べてみましょう。女性にチャンスがあるのはどちらでしょうか。

 25~39歳の女性の就業率(非正規を含む)を比べると、島根県は9割を超えて日本一で、それに対して東京都は7割を割って全国最低レベルです(注1)。若い女性が働くと子どもが減ると思い込んでいる人がいますが、島根県の合計特殊出生率(女性が生涯に平均的に産む子どもの数)は1.87と1.9に近く、沖縄に次いで2位。それに対して東京都は1.22で全国最低です(注2)。つまり、働きたい女性にとっても、子どもを育てたい女性にとっても、ましてや両方やりたい女性にとってはなおのこと、東京は暮らしにくく、島根は暮らしよいのです。

(注1)2015年国勢調査結果より計算。
(注2)厚生労働省が発表した2015年の合計特殊出生率を、東北大学大学院高齢経済社会研究センターが再計算したデータによる。

 事実、島根県の各地には、面白い地域おこしをやっている女性がたくさんいます。そうしたロールモデルに影響を受け、都会から島根県に移り住む若い女性も、実は密かに増えています。先日も島根県の離島で、東大を出て6年間大企業に勤めてから退職し、移住してきた若い女性に会いました。彼女は引きこもりに来たのではなく、新たな自分の可能性を試しつつ、ゆくゆくは自分で起業するために来たのです。東京で

 「BtoB」の国際競争の袋小路に迷い込む大企業の社員をやっているよりも、地方で自分の感性を磨き、「BtoC」の国際競争に自ら身を投じたほうが、将来性もやりがいもある。何より、自分のやったことがそのまま地域に残る。大企業で社畜をやっていると、身を粉にして何をやってきたのか、最終的によく分からない人生になってしまう。このシンプルな事実に気づく若い女性が、静かに増えています。

 軍隊的な大組織で利益ばかり追求するのに慣れた中高年男性は、儲けて昇進することには必死になれるのですが、「子孫に残す価値を生み出したい」という感覚が欠けています。今だけ・金だけ・自分だけが大事で、未来や子孫に向けた思いがない。それに対して、私が出会った女性リーダーの多くは、常に次の世代、次の時代のことを考えて動いていました。今こそ、そうした女性リーダーをもっともっと増やすことが求められているのです。