公民連携で空き家問題と移住創業支援に対応

 もともと熱海市では、商店街の空き店舗への入居者に補助金を出していたが、2013年に見直しをかけた。

 「実績として数軒、飲食店中心でお店を出していただいたのですが、3割くらいが1年ほどで廃業してしまうとか、あるいは無理して事業を続ける傾向が見受けられました」。熱海市役所 観光建設部 観光経済課 産業振興室の長谷川智志室長は、見直しの背景をこう説明する。

 空き物件だけ解決しても、そこに入った店の事業がうまくいかなければ、また空き物件になってしまう。そして、初期投資の負担だけが事業者に残ってしまうというわけだ。

熱海市役所 観光建設部 観光経済課 産業振興室の長谷川智志室長(写真/稲垣 純也)
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 そこで、2015年、市、商工会議所、金融機関、宅建協会、そして、民間のまちづくり会社「machimori」が連携して、空き家対策と創業支援を同時に行う体制がつくられた。

 「空き不動産を使っていただくために『創業支援』と『リノベーションまちづくり』を融合していこうというのが、始まりでした」(長谷川室長)。

 こうして2016年6月、熱海市の主催、machimoriの協力で「ATAMI2030会議 第1回 熱海リノベーションまちづくり構想 検討委員会」を開催。行政・民間、市内外、世代の垣根を超えた議論の場である。

熱海リノベーションまちづくりのウェブサイト。「ATAMI2030会議」は、リノベーションまちづくりの一環として企画された(画面クリックでウェブサイトへ)

 同年7月に第2回、同9月に第3回と回を重ね、2017年3月にひとまず最終回(第6回)を迎えた。その後、2017年度、18年度も継続開催され、子ども会議も開催されるなど、市外、とりわけ東京からの移住創業の窓口の役割を果たすイベントとして、現在も続いている。