2005年に「森林文化都市」を宣言し、自然と都市機能を調和させたまちづくりを進める埼玉県飯能市。市が誘致したムーミンバレーパークが2019年3月、宮沢湖畔にグランドオープンし、国内外から観光客を集めている。都心に近い立地と、森と水を生かしたまちづくりで定住人口や交流人口を増やそうという市の試みを追った。

飯能市の宮沢湖畔にオープンしたムーミンバレーパークのエントランス。パーク内はSNS映えするスポットも数多く、口コミで情報が拡散されている(写真:日経BP総研)
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「消滅可能性都市」に危機感

 飯能市の人口は、2005年のおよそ8万5000人をピークに毎年数百人規模で減少。2018年には、8万人を切る水準まで落ち込んだ。2014年には日本創生会議・人口減少問題検討分科会(増田寛也座長)の「ストップ少子化・地方元気戦略」において、「消滅可能性都市」(全国898自治体)の一つに取り上げられた。危機感を持った市では、すぐに人口対策のプロジェクトチーム立ち上げた。

 「やれることは何でもやろう」と檄を飛ばす大久保勝市長を本部長とするプロジェクトチームは、子どもインフルエンザ予防接種無償化や子ども医療費無償化など、施策を次々打ち出していった。そして消滅可能性都市から発展都市への転換を図るための柱と位置付けたのが、交流人口増が期待できるムーミンのテーマパークの誘致、そして、定住人口を増やすための住宅制度、“農のある暮らし”「飯能住まい」だった。

 まず、交流人口増のために同市が進めている施策としては、「都市回廊空間」整備事業がある。飯能市街を中心にムーミンバレーパークのある宮沢湖周辺のほか、以前から観光客で賑わう飯能河原・天覧山周辺、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園へと回遊してもらおうというもので、ライトアップや改装など、各拠点の施設整備が進められてきた。

(提供:飯能市)
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 市では交流人口を2014年の240万人から2025年までに480万人に増やす計画を持っており、この3拠点は重点地区。さらに中心市街地からクルマで40分ほどの距離にある名栗湖周辺の整備などに乗り出している。ここは釣りやカヌー、川遊び、トレッキングなどが楽しめるエリア。「現在地元の銘菓、名栗饅頭などのお土産品や採れたて野菜を販売している農林産物加工直売所やその隣接地を北欧風にブラッシュアップしていくなど、いくつかのプランが民間事業者から出ている」(地方創生推進室)。公民連携で知恵を絞り、積極的に交流人口増の施策を進めていく考えだ。