オリーブによる健康・長寿の島づくりを目指す

小豆島のオリーブは、5月下旬〜6月上旬にかけて開花し、7月には実をつける、10月上旬に新漬け用に収穫し、そのあとオイル用を収穫する(写真:日経BP総研)
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 小豆島4大産業(醤油、そうめん、佃煮、オリーブ)の中でも、オリーブは、国内生産の9割を占め、小豆島の最も有名な特産物に育った。

 国産オリーブは小豆島が発祥の地。1908年から官民連携で栽培に乗り出し、栽培熱が高まった。ところが、1960年に輸入自由化で安価な海外製品の輸入が増加。害虫被害などもあって栽培面積が急減していった。

 大底は1986年。栽培面積は30ha近くまで落ち込み、オリーブ畑はミカン畑に変わっていった。その後、町がバックアップして有志のオリーブ並木推進委員会がオリーブの並木を作ったり、一般家庭でも自家栽培ができるように2000円の苗木を500円で配布したりするなど、点だったオリーブの植栽を町全体に広げていく。

研究所でオリーブ作りを指導する所長の久保田健康氏と主席研究員の柴田英明氏(写真;日経BP総研)
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 オリーブの品質向上で大きな役割を果たしたのが、香川県農業試験場小豆オリーブ研究所(旧香川県農業試験場小豆分場)だ。オリーブを安定的に生産するための研究を行う一方、高品質のオリーブを生産する手法も民間に提案していった(関連コラム)。

 また、県のオリーブ栽培の試験地である西村圃場がオリーブ公園として整備され、町も1990年に飲食施設などを設置。併せて道の駅「小豆島オリーブ公園」として、オリーブか楽しめる観光名所を誕生させていった。

国内オリーブ生産は小豆島が9割を占める。近年、香川県本土での栽培も増えており、県内の栽培面積は急増してる(資料:香川県)
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 オリーブの栽培面積が大幅な増加に転じるきっかけになったのが、2003年の旧内海町の「小豆島・内海町オリーブ振興特区」の認定。これで企業がオリーブ栽培に参入できるようになり、醤油のヤマヒサなど地元の有力メーカーもオリーブ生産を手がけるようになった。さらにオリーブ生誕100周年の2008年には、商工観光課の中にあったオリーブ室を格上げしてオリーブ課を立ち上げ、生産、販売、プロモーションなど、全国に向けてオリーブ振興を図っていった。

 「荒廃農地をオリーブ畑に転用でき、雇用にもつながることで、島外からの視察も増え、今では全国でオリーブが生産されるようになり、オンリー1からトップ1へとうたい文句も変わった。今は香川県産オリーブとしてのプロモーションも多く、その中で小豆島ブランドとしてどう育てて行くかに腐心しているところ」と松本町長は話す。

小豆島では60種のオリーブが育てられ、主にルッカ、ミッション、マンザニロ、ネバディロブランコの4品種が栽培されている(写真:日経BP総研)
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 オリーブオイルには、ポリフェノール、ビタミンE、オレイン酸が多く含まれ、抗酸化作用や中性脂肪の減少にも効果があると言われている。町では「オリーブを用いた健康長寿の島づくり」事業を2012年から開始。家庭・学校給食でのオリーブオイルの普及、オリーブと小豆島の食材を活かした新しい料理の開発、島内飲食店でのオリーブ料理の提供などを補助金や一般財源を使って進めている。「小豆島町では、住民の食生活の中にオリーブは定着してきている」と松本町長。これが町の医療費や介護費の抑制につながれば、小豆島オリーブの価値はさらに上がりそうだ。

 この4月には、小豆島ヘルシーランド(土庄町)が、オリーブオイルポリフェノールにより、血中LDLコレステロールの酸化を抑制するという機能を謳ったオリーブオイル製品初の機能性表示食品を発売した。小豆島町内の大手メーカーでも同様の動きがあり、「オリーブ=健康という価値作りを官民一体になって進めて行きたい」と松本町長は意気込む。

小豆島ブランドを育てるため、地場産業担い手育成事業を開始

 もう一つ、松本町長の肝いりで始まったのが、地場産業担い手育成事業の「中川塾」だ。町出身で日清食品ホールディングス相談役の中川晋氏を塾長に招き、次世代を担う経営者の育成を目指す。

 「有力な地域資源があっても小豆島ブランドとして全国に広め、育てていくにはマーケティングや人脈がなければ難しい」と松本町長。経営を学び直したいという地元の若手経営者、商品企画、営業担当などを集め、2018年6月に開講し、今年で2年目を迎えた。

 特別講師を引き受けた湖池屋の佐藤章社長が、地元で国内最大級のオリーブ農園を経営する、東洋オリーブを視察したことがきっかけとなり、「湖池屋 JAPAN PRIDE POTATO 小豆島 オリーブソルト」の商品化が決まったり、島内の佃煮メーカーを集めて各社の「推し佃煮」を「佃煮坂46」と称してスーパーマーケット・トレードショー2019に出展したりと、成果も出始めている。

湖池屋 JAPAN PRIDE POTATO 小豆島 オリーブソルトは、道の駅 小豆島オリーブ公園の売店のほか、10月末までセブンイレブンでも発売する(写真:日経BP総研)
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