(7)Public Bathroom(トイレ):一流ホテルレベルの清潔さ

 トイレの清潔さは定評があり、一流ホテルやレストランのレベルを維持しています。日本のTOTOによる寄付とスポンサー支援があるとのことでした。前述の通り、浮浪者が占拠しても、清掃作業員や警備員が対応します。なお、通常のイベントでは園内のトイレと周辺施設のトイレで賄っているとのことで、基本的に仮設トイレは設置しないとのことでした。

トイレのエントランスが美しい(写真:植田直樹)
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(8)Amenities(アメニティ施設):ボードゲームから携帯充電施設まで

 公園内には、朗読会、お絵かき、ボードゲーム、ピンポン、メリーゴーランドなどのための空間が、様々に用意されています。利用料がかかるのは施設維持が特別なメリーゴーランドのみで、あとは無料で利用できます。スポンサーの支援により、公園内の活動が幅広い利用者に対して行われるようになっています。なお、公園の物理的な構成もそうした施設に対応しているといえます。中央の芝生の広場を取り囲む四周のプラタナス並木がこれらの様々な活動空間を包み込んでいます。公園内のWi-Fi設備、40基の屋外コンセント、携帯充電施設なども装備されているのも忘れてはいけません。

公園内のボードゲーム(写真:植田直樹)
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スケッチ道具なども使うことができるスペースもある(写真:植田直樹)
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公園内の屋外コンセント(写真:植田直樹)
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フリーWi-Fiのスポンサーを示すテーブル(写真:植田直樹)
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(9)Program & Events(イベント):「着ぐるみ不可」でブランド管理

 公園の中では数多くのイベントが行われていますが、それら全てをBPCが自主企画、運営しています。スポンサーの支援も得られるため、通常はイベントの参加費は無料として企画。外部団体によるイベントの場合は使用料収入を得ることができるとのことです。なお特徴的だったのは、ブライアント・パークでは着ぐるみイベントなどは行わないことです。公園のブランディングにとって不適切であると判断しているそうです。そうしたブランドのコントロールを行いながら、年間1000件のイベントを実施しています。イベント開催時間は22時まで。騒音などの問題で周囲とトラブルになるようなことはないそうです。

 一番大きなイベントは冬のスケートリンクで、バンク・オブ・アメリカがスポンサー支援しています。芝生を一旦剥がしてリンクを設置するなど大掛かりな準備を行って実現しているそうです。 また同じく冬季には、120のテナントが11月から3月までショップを展開するイベントもあります。ショップの仮設建物はオリジナルに製作したもので、イベント終了時には解体してやはりニュージャージーのストックヤードに保管しています。

 日常のイベントとしては、ジャグリング、ピアノ演奏、スクエアダンス、ヨガ、ファッションショー、フィルムフェスなど。ヨガは1500人の参加者があるといいます。イベントの告知は、インターネット、公園内で配布するブローシャー、BID企業による広報、NY市内のフリー誌によるとのことでした。

公園アクティビティ告知のサイン(写真:植田直樹)
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(10)Design(デザイン):ゴミ箱も美しく

 キオスク、ゴミ箱、パラソルなどの施設や、サイン、メディアを含めた公園に関する全体を統括したデザインが重要とBPCは考えており、8人のデザイナーを直接に雇用しています。3人はグラフィックデザイナー。イベントの告知メディアのデザイン、公園内における企業ロゴ掲出方法のコントロールも大変重要なポイントと考えています。最近はフェイスブックやインスタグラムなどの活用も積極的に推進しているとのことです。

オリジナルなデザインのゴミ箱が公園の外周道路にも展開(写真:植田直樹)
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外周道路の標識にもブライアント・パークのオリジナルデザインが採用されている(写真:植田直樹)
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まとめ

 以上、BPCに見るBIDの仕組みと「公園の活性化に大切な10の要素」をご紹介しました。公園の活性化のための費用がニューヨーク市の固定資産税に上乗せされてBPCに還元されるという資金循環は日本のPark-PFIとは異なる様相になっていますが、スポンサーシップやテナント収入、イベント使用料といった収入の多様性は参考になります。また、公園活性化の要素それぞれが非常に参考になるのと同時に、地域が公園に期待するものと、公園が地域に与える影響、その相互関係の幅広さを感じます。


ランドスケープ経営研究会
Landscape and Business Development Association, Japan
2017年10月に一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会が設置した研究会。略称LBA。都市公園法等の改正を受け、Park-PFI等「ランドスケープ経営」に関心のある企業、団体、個人を募り、公園から始まるまちづくりのための公民連携方策の技術・情報交流、研究・提言を通じ、新たな時代の緑とオープンスペースにおけるビジネスモデルを構築することをミッションとする。収益施設のビジネスを得意とする民間事業者と、公園など造園/ランドスケープに関わる業界が集結することによって、多様な主体の協働による新たなまちづくりへの取り組みを推進。公式サイトURLはhttp://www.lba-j.org/