3つのステップで市民企画を実現

 パークコーディネーターは、(1)アウトリーチ、(2)マッチング、(3)コーディネート――という3つのステップを踏んで、市民企画の実現につなげます。

 まず「(1)アウトリーチ」活動として、積極的に公園外に出ていき、地域の中でネットワークを広げます。そこで得られた情報から、パートナーとなりそうな人たちを「(2)マッチング」します。プロジェクトチームが結成されたら、内容の相談に乗ったり公園のルールを説明したりなど、企画を具現化するための「(3)コーディネート」を行います。

 このようにして、市民から生まれた意見やアイデアという「種」を育てて芽吹かせるのが、パークコーディネーターの役割なのです。

パークコーディネーターは、地域のニーズを拾う「(1)アウトリーチ」、主体同士をつなぐ「(2)マッチング」、企画の具現化に向けた「(3)コーディネート」という3つの段階を踏んで、市民企画を実現する。写真は、まちづくりに関わる人々が集まるワークショップに参加し、公園の利活用について意見交換を行うパークコーディネーター(国分寺市「ローカルテーブル」にて)(写真:NPO birth)
[画像のクリックで拡大表示]

パークコーディネーターが活躍する場を広げる

 これからの時代は「共創」の社会と言われています。まさに、いま求められているパークマネジメントは、多様な立場の人たちとともに新たな価値をつくり出すことであり、その担い手となるのがパークコーディネーターなのです。しかし、パークコーディネーターが携わる公園はまだまだ少数です。今後、その活躍の場を広げていくための方策を3つのポイントに分けて解説します。

1.「中間支援組織」と連携する

 中間支援組織とは、社会課題の解決のために異なるセクター間に立って調整や連携を図る「コーディネート・マッチング機能」と、中立的な立場で最適解を導く「ソリューション開発機能」を持つ組織です。形態としては、NPOや第三セクター的なものなどがあり、各分野に卓越したコーディネート力を持つスタッフが所属しています。

 みどりに特化した中間支援組織は日本ではまだ少数ですが、海外では公園管理者がこうした中間支援組織と連携するケースや、中間支援組織自体が公園管理を行う事例が多く見られます。これらの組織にはパークコーディネーターとしての役割を担うスタッフが所属しており、地域の市民や企業など様々な主体と連携しながら、イベントやボランティア活動の運営を担っています。またニューヨークなど、中間支援組織を創設すること自体をサポートしている自治体や企業も少なくありません。なぜなら、中間支援組織の存在によって公園緑地の利活用が加速し、地域の経済や安全、環境保全などに大きなインパクトを与えることが明らかだからです。

 前回(第11回)紹介した都立武蔵国分寺公園では、JV(共同企業体)である指定管理者の1つに中間支援組織が所属することにより、パークコーディネーターが配置され、公園と地域の活性化が飛躍的に発展しました。中間支援組織との連携は、エリアマネジメント活動の推進にもつながります。

ニューヨーク市の中間支援組織「Partnership for Parks」のコーディネーターは、パークボランティアのコーディネートや市民グループの立ち上げ支援などを担っている。左の男性が、ボランティアイベントで作業内容を説明するコーディネーター(ニューヨーク、イーストリバーパーク前の歩道橋)(写真:NPO birth)
[画像のクリックで拡大表示]
筆者も公園前の歩道橋のペンキ塗りのボランティア作業に参加。知らない人同士も一緒に作業することで仲良くなり、おしゃべりも弾む。コーディネーターの存在が参加者に安心感を与えている(ニューヨーク、イーストリバーパーク前の歩道橋)(写真:NPO birth)
[画像のクリックで拡大表示]

2.指定管理者の選定にパークコーディネーターの導入を条件とする

 パークコーディネーターを公園に配置することで、様々なリソースを公園に集めることが可能となり、決まった予算以上の効果が望めます。指定管理者の公募の際には、パークコーディネーターの配置を条件として盛り込むことが推奨されます。

 東京都西東京市では、市立公園の指定管理者募集の際に、「市民協働担当」を配置することを条件としています。この連載の第6回で取り上げた西東京市いこいの森公園では、NPO birth所属のパークコーディネーターが市民協働担当として、市民グループの支援や地域連携のイベント企画、小規模公園の活性化などを推進しています。

公園でのイベントは、パークコーディネーターがテーマに応じた連携先をチョイスしながら企画を立てていく。写真は、団地のエリアマネジメント組織と連携したマルシェ。地域の店舗やアーティスト、農家など、互いのネットワークを生かしたラインナップで、参加者も出店者も満足度の高いイベントとなっている(西東京市立ひばりが丘西けやき公園)(写真:NPO birth)
[画像のクリックで拡大表示]
「みんなで育てる小さな公園プロジェクト」では、小規模公園を利活用したいという市民の活動をパークコーディネーターがサポートしている。写真は、市民企画のイベント前に来園者を迎える準備として、ペンキが剥げたブランコの塗り替えをしている市民グループ「ひばり日和。」の活動の様子(西東京市立住吉町第三公園)(写真:NPO birth)
[画像のクリックで拡大表示]