民間の力を利用した、公園など都市のオープンスペースのサステナブルな空間利用について考えていくシリーズ「公園が変わる! 街が変わる!」。第9回と第10回は、米国ニューヨーク市公園局に勤務する島田智里氏が、公民連携による公園管理の取り組みをリポートします。その特徴は、自ら収益を上げる多様なプレーヤーと協力しながら公園を運営していることです。第9回は、その代表例である「戦略的パートナーシップ」について解説します。

 ニューヨーク市(以下、NY市)は、米国北東部にある人口約850万人からなる米国最大の都市です。ブロンクス、マンハッタン、ブルックリン、クィーンズ、スタテンアイランドの5行政区から成り、筆者が所属するNY市公園局はこれら5区のうちの陸地面積1万1600ヘクタール。市の約14%を管轄していることになります。そのうち3分の1は自然エリアで、3分の2がレクリエーションの空間になっており、コミュニティガーデン、ビーチ、レクリエーションセンターなどの公園施設を含めると5000以上を所有しています。市内には従来型の都市公園だけでなく、沿岸エリアを活用したり、既存のインフラを整備し直すことで公園利用につなげたり、公園内で様々なプログラムを充実させたりと、NY市独自の公園運営が行われています。

NY市はブロンクス、マンハッタン、ブルックリン、クィーンズ、スタテンアイランドという5行政区から成る。「ビッグアップル」の愛称で親しまれ、市内では170近くの言語が話され、人口の密度の高さと多様性が著しい(資料:島田智里)
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■様々な組織が管理に関わっているNY市内の公園の一例
クィーンズの急速に住宅開発が進むエリアに位置するハンターズ・ポイント・サウス・パーク(Hunters Point South Park)。マンハッタンに面した沿岸に広がる4.5ヘクタールにわたる都市公園で、洪水対策にも考慮したデザインが特徴(写真:島田智里)
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ブルックリンのダウンタウンから徒歩圏にあるウォーターフロントパークのブルックリンブリッジパーク。工業エリアをリゾーニングして商業や住宅の開発が進んでいるエリアに位置する約34ヘクタールの公園。公園内に建設した住宅や駐車場の地代収入などで維持管理を賄っている(写真:島田智里)
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マンハッタンのミッドタウンにあるブライアント・パークで行われる無料の屋外ヨガクラスの様子。予約なしで誰でも参加できる。このほかにも多くのクラスが提供され、スケジュールは運営団体であるブライアント・パーク・コーポレーション(Bryant Park Corporation)のウェブサイトから確認できる(写真:島田智里)
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マンハッタンのセントラルパークで毎年5月に行われるジャパン・デー(Japan Day)イベント。例年5万~6万人が訪れ、NY市で日本の文化を広げるため、日本伝統の紹介や、日本食の屋外マルシェ、マラソンなどの催し物が終日行われる。単発的に、こういった文化活動の斡旋にも公園が使われる(写真:島田智里)
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セントラルパークで、夏の間毎日のように開催される屋外コンサートの様子。コンサート、ダンス、オペラ、劇など目白押しのイベントの多くが無料。セントラルパーク以外にも市内5区の様々な公園で定期的に開催され、毎日のイベントスケジュールは、パートナー団体であるシティ・パークス・ファウンデーション(City Parks Foundation)のサマーステージ(SummerStage)のウェブサイトで確認できる(写真:島田智里)
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