戦略的パートナーシップの役割

 BIDやコンサーバンシーなどといった協力団体のうち、NY市公園局と公式なライセンス(License)を取得、または合意覚書(Memoranda of Understanding and Similar Agreements、MOU)の関係で公園を運営するのが「戦略的パートナーシップ」です。

 一般的に10年契約(5年ごとの更新可能)のライセンスを取得し、日々の管理運営から、スタッフの雇用、資金集め、プログラム策定・実施まで包括的に行う団体が現在20あります。ライセンスには幅広い内容で多くの責務が組み込まれており、その基準も非常に高く、取得が難しいと言われています。2018年の報告では、これらの団体による民間投資額は、管理維持費に68億2000万円(1ドル=110円換算、以下同様)、資本金に34億1000万円、プログラムに35億2000万円となっています。

NY市公園局の戦略的パートナー団体の例(資料:NY市公園局)
NY市公園局の戦略的パートナー団体の例(資料:NY市公園局)
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 ライセンスの取得が困難な場合、または包括的な公園の管理運営を目的としない場合、MOUの下で特定のプログラムや活動をNY市公園局と行う団体も多数あります。MOUとは、行政機関などの組織間の合意事項を記した文書で、法的拘束力はありません。一般的に、MOUでも規模が大きくなるとライセンスが必要になり、必要に応じてカスタマイズされた個別の内容が契約書に含まれます。以下は戦略的パートナーシップの一例です。

●特定の公園を対象とするコンサーバンシーなどのNPOの例

  • ・年間4000万人以上の訪問者があるセントラルパークを管理運営するCPC
  • ・マンハッタン南端の10ヘクタールの沿岸にあるバッテリーパークを管理するBattery Park City Conservancy
  • ・高架線路の再開発でできた空中緑道、ハイラインを運営するFriends of High Line

●BID組織の例

  • ・ブライアント・パーク近郊およびブライアント・パークを管轄するNPOのBryant Park Corporation
  • ・ポート・オーソリティ管轄のバスターミナルを含むハドソンヤード近郊エリアを管轄する NPOのHudson Yards/Hell's Kitchen Alliance BID

●市全域で特定の活動をするNPOの例

  • ・市全域で緑化空間改善や植樹など公園修復事業を行うNPOのNY Restoration Project
  • ・市全域の公園で環境教育や公共アート、フィットネスなど様々な公園プログラムを運営するNPOのCity Park Foundation

●地域コミュニティ団体の例

  • ・マンハッタンのロウワー・イースト・サイドにあるコミュニティベースの環境団体であるLower East Side Ecological Center

●上記以外で公園内にある公共施設の運営団体

  • ・文化施設、歴史施設、動物園、植物園、環境センター、水族館など

 全ての戦略的パートナー団体は、公園内の遊具設備、ベンチ、トイレなどを含むインフラ整備、公園のデザイン変更や樹木の除去など、日常的な維持管理業務を超える活動は全てNY市公園局の事前許可が必要です。一方で、こうした活動を実施する団体は、公園施設を利用して資金を集め、各自のボランティア活動、公園利用者数や植生などのデータ収集、公園管理に必要な訓練の実施や公園内の資源の利用が可能です。場合によってはNY市公園局の所有地にオフィスの設置もできます。

 NY市公園局ではライセンスを持つ公園管理運営団体のために、法や規制を取り扱う専門部署があります。それとは別に、「Park Administrator」と呼ばれる特定エリアの公園管理責任者(公園局職員)が地域団体を直接管理することがあります。最近では、多くのNPOにとって様々な業務を包括したライセンスの取得は難しいため、公園局ではMOUより拘束力があり、一般的なライセンスの基準より簡易で、特定の活動に限定した新しいタイプのライセンスの導入を検討するなど、これまで以上に多くの団体にパートナーシップの可能性が広がるよう努めています。

ランドスケープ経営研究会
Landscape and Business Development Association, Japan
2017年10月に一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会が設置した研究会。略称LBA。都市公園法等の改正を受け、Park-PFI等「ランドスケープ経営」に関心のある企業、団体、個人を募り、公園から始まるまちづくりのための公民連携方策の技術・情報交流、研究・提言を通じ、新たな時代の緑とオープンスペースにおけるビジネスモデルを構築することをミッションとする。収益施設のビジネスを得意とする民間事業者と、公園など造園/ランドスケープに関わる業界が集結することによって、多様な主体の協働による新たなまちづくりへの取組みを推進する。公式サイトURLはhttp://www.lba-j.org/