既存の団体や個人を対象とする「スチュワードシップ」

 スチュワードシップ(Stewardship)はNY市公園局のプログラムで、2007年に当時のマイケル・ブルームバーグ市長により開始されたNY市公園局の「100万本の植樹プログラム」(MillionTreesNYC)と、それ以前に存在していた旧自然エリアのボランティアチームが合併してできた比較的新しいプログラムです。公園局のスチュワードシップに参加する組織は、ライセンスを持たないコンサーバンシーやBID、その他のNPOなどです。PFP同様に公民連携で公園の管理運営を行いますが、運営主体は基本的にNY市公園局になります。

 NY市には、NY市長オフィスが運営するニューヨーク・シティ・サービス(NYC Service)という機関があります。ニューヨーク・シティ・サービスはボランティア活動を斡旋し、市民がボランティアに参加できるよう支援するために2009年に設立されました。スチュワードシップでは、ニューヨーク・シティ・サービスのような市の機関を通じて民間からスタッフを雇用することがあります。

 スチュワードシップがPFPと異なる点は、支援団体の形成などは行わず、既存の団体や公園管理を支援する個人を対象として、緑の管理に必要な技術提供や技術サポートに特化している点です。そのため、スチュワードシップの活動は専門性を持つ公園局員が先導します。スチュワードシップは、2007年にはじまり、予定より2年早い2015年に目標を達成した「100万本の植樹プログラム」を通じて、多くの支援団体や個人のボランティアと長期的な協力関係を築くことに成功しました。2019年の現在も更に継続、拡大しています。ここ2~3年は、安定して毎年8000人以上のボランティアが参加しており、公園管理業務を支える人材を育成しています。

 個人を対象としたユニークな制度もあります。専門性を習得して継続的に活動するボランティアを認証するスーパースチュワードの制度です。局員指導の下では局員レベルの活動ができ、他のボランティアを監督することができるのもユニークで、人気があります。

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スチュワードシップ主催の植樹ボランティアイベントに参加するブルームバーグ(Bloomberg L.P.)の社員(左)。セントラルパーク脇の5番街通りで街路樹ケアをする高校生たち(右)(写真:島田智里)

 これに加えNY市公園局には、コミュニティガーデンを専門とする「グリーンサム(Green Thumb)」と呼ばれる部署、市の他局や州や国との連携を専門とする部署、行政が関与する政策を手掛ける部署、公共アートを担当する部署などがあり、活動内容や規模、必要なスキルに応じて専門性をもつ職員が適切に対応できるようになっています。

 戦略的パートナーシップ(前回参照)の契約から、支援団体の形成やリーダーシップの育成まで幅広い内容をカバーしており、この多様な仕組みや状況や時代に応じて対応の形を広げていくのがNY市の公民連携のユニークさでもあります。