公園など都市のオープンスペースのサステナブルな利活用について考えていくシリーズ「公園が変わる! 街が変わる!」。第13回は当初の掲載予定を急きょ変更し、昨今の新型コロナ現象による公園の在り方の変化について、公園行政の第一人者で造園技術者でもある前国土交通省公園緑地・景観課長の町田誠氏(SOWING WORKS 代表)に、緊急寄稿をお願いした。町田氏は、コロナ禍の昨今見られる「室内にいられなくなったから公園に行く」というパッシブな公園の価値に依存するのではなく、今こそ「公園を使い倒す」考え方が重要だと説く。

町田 誠
前国土交通省公園緑地・景観課長、SOWING WORKS 代表
町田 誠 1959年生まれ。82年に千葉大学園芸学部を卒業後、建設省(当時)に入省。都市・地域整備局公園緑地課緑地環境推進室企画専門官、東京都建設局公園緑地部長などを経て、2016年に国土交通省都市局公園緑地・景観課長に就任。18年7月退職。18年12月からSOWING WORKS代表に就任。千葉大学園芸学部と横浜市立大学国際教養学部で非常勤講師を務める

(1)前提I・公園の在り方についての筆者のスタンス

 新型コロナ禍まっただ中に、このタイトルでの意見開陳にはいろいろな意味でリスクが伴うが書かせていただく。論点、切り口は「専門性」と「リスク」対峙。専門性(専門家)が負うべきリスクは何なのか、リスク対峙の仕方、ということを新型コロナウイルス感染症が拡大する中で起きている現下の現象(以降、新型コロナ現象)を、公園に係る政策・施策を省みる素材として、公園の世界の現状、進めるべきこれからの公園在り方について論じたい。

 「公園を使い倒す」――。品の無い言葉を使って、私が公園の積極活用を訴える活動を始めたのは2013年頃のことだ。公園には様々な役割・機能・顔がある。その中でなぜ、これほどまでににぎわい形成、集客に、こだわり続けてきたのか。

 今から20年以上も前、公園の費用便益分析手法がない中、経済の先生方3人に導いてもらって便益の計測方法を国土交通省でつくった時の経験が、私のこだわりのベースとなっている。

 ここでは、公園利用に伴う価値(直接利用価値)の計測については旅行費用法を用いて、また、環境や防災など、一般的に「存在効果」と言われる価値(間接利用価値)の計測については、対価として世帯ごとの支払意思額をベースにした効用関数法によって導き出し、これら2つの方法のハイブリッドによって、公園の価値・効用を算出することとした。最初は比較的規模の大きな公園だけを対象とし、その後、小さい公園への適用を拡大する中で、手法の改善は進められてきている。

 ところが、最初の「旅行費用法と効用関数法によるハイブリッド手法」確立の作業の中で、直接的利用価値に比べて間接的利用価値(存在効果:公園の存在自体によって生じる環境や防災の効果)が全然積み上がらない、つまり、利用者にとって間接的利用価値はあまり重視されていないことに気づいた。そして、その傾向は今も変わらない。

 私自身は、正真正銘の造園技術者、専門家であるから、草も木も、鳥も虫も魚も大好きである。人間の侵入を拒絶するくらいの公園も「アリ」と思っているくらいであるから、存在効果が積み上がらないことに「いら立ち」が募った。しかし、それが社会の現実、平均的な都市生活者からの公園の評価、価値づけの現実であることを受け入れなくてはいけない。

 専門家が、都市の中の自然としての価値、あるいは防災の役割を主張・説明しても、平均的な都市生活者のそれらへの支払い意思は上がらない。そうした現実を専門家は受け入れて、「税を原資にして」公園をつくって、管理するのならば、公園のオーナー、クライアントである平均的な都市生活者の評価に応える公園を目指すべきである、というのが私の基本的な構えである。

 環境や防災の役割が小さいと言っているわけではない。納税者の支払い意思が積み上がらない機能に重きを置いた姿の公園をつくることは好ましくないということだ。整備・管理に投下される金額(税)を上回る消費者余剰が積み上がる公園が、社会的な合理性を持つのである。こうして「利用者でにぎわう公園」、「公園を使い倒す」、「使われてなんぼ」という発想は生まれた。