2020年4月、営業赤字が続いていた温泉施設をリニューアルしてオープンした「道の駅たかねざわ 元気あっぷむら」。第三セクターの撤退を受け、ランドスケープコンサルタントの塚原緑地研究所が指定管理者となり、設計監修から管理・運営までを担っている。主に設計の際の取り組みを取り上げた前回に続き、今回は元気あっぷむらの「駅長」を務める同社の山本絢哉氏が、コロナ禍でも人を集めるための運営面の取り組みについて解説する。
「道の駅たかねざわ 元気あっぷむら(https://www.genkiupmura.com/)」の駅長・山本です。前回は当社代表の塚原が、主に供用開始に先立つ整備面について説明しました。今回は、運営面の取り組みを紹介します。
2020年4月1日に、道の駅としてリニューアルした「元気あっぷむら」。コロナ禍の影響を受けるなか、徐々にではありますが、経営状況は当初の計画に近づきつつあります。来場者数はリニューアルオープンからの2年間で60万人(当初目標は84万人)、今年度は延べ100万人の到達を見込んでいます。なかでもグランピング(※)は、アウトドアブームが追い風になったこともあって、毎週末はほぼ満室と好評をいただいています。
しかしながら、最初から来場者がたくさん訪れてくれたわけではありません。オープンから現在まで、新型コロナウイルスの影響を大きく受けて集客に苦戦。日々試行錯誤を繰り返してきました。
また、多くの道の駅が国道や県道沿いに位置するのに対して、本施設は町道沿いにあります。周辺に観光名所がなく立ち寄り利用には不向きな立地です。
このような状況下で、集客を図るために取り組んできたことをご紹介します。
コロナ禍で“ひっそりと”オープン
「元気あっぷむら」は、“行きたくなる場所、ここにしかない空間”をコンセプトとした道の駅で、温泉や直売所、レストラン、新設のグランピングなどを備えた滞在型の複合施設です。華々しくリニューアルを飾りたかったものの、コロナ禍に配慮し、20年4月11日に予定していたオープニングイベントは中止し、レストランや直売所といった施設内の店舗も時間短縮で営業するなど、ひっそりとしたオープンとなりました。
そして、オープン直後の20年4月18日に発令された緊急事態宣言を受けて、同月22日から5月15日の期間中は農産物直売所以外の営業を取りやめ、宿泊は5月中の受け入れを中止しました。6月以降も、レストランなど一部店舗を時短営業にしたり、人数制限を設けたりして運営を続けました。
時期 | 営業状況 |
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2020年4月1日~4月20日 | 一部店舗を時短営業してオープン |
4月22日~5月15日 | 4月18日に発令された「緊急事態宣言」を受けて、農産物直売所以外の営業を中止 |
5月16日~5月31日 | 宿泊施設の受入れを中止したほか、平日は全ての店舗を時短営業とした |
緊急事態宣言の解除後も客足は伸びず、特にグランピングに至っては予約のほとんどがキャンセルになりました。6月まで宿泊件数がほぼゼロという状態。約90人の従業員の雇用を維持するためにも、早急にこの状況を解消しなければなりませんでした。
外出自粛ムードやソーシャルディスタンスが叫ばれるなか、私たちは3つの重点施策に取り組むことにしました。(1)ニーズの変化に対応する、(2)地域資源を活用する、(3)賑わいをつくるイベントとPR、です。