連載第3回目は、2017年6月の都市の緑に関する法律改正のうち、都市緑地法の改正のポイントについて主に解説します。

今回の改正により、公民連携による都市の緑地整備が進めやすくなりました。改正の主なポイントは表1の通りです。この中から民間の土地を活用して緑のオープンスペースをつくっていく「市民緑地認定制度」を中心に説明していきます。

表1●都市緑地法等の改正のポイント
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(資料:国土交通省)

(1)「市民緑地認定制度」を創設、3年間の減税措置も

 改正都市緑地法のポイントとしてまず注目すべきは、市民緑地の設置管理計画を市区町村が認定する「市民緑地認定制度」を新たに制度化したことです。

 少子高齢化・人口減少の局面において従来のような市街化の圧力が低下する中、コンパクトな都市像を実現していくうえで、いわゆる中心市街地における空地・空き家対策が課題となっています。また財政面の制約により都市部での新しい公園の創設も困難な状況です。

写真1●市民緑地認定制度の活用イメージ
写真は柏市の「ふうせん広場」。認定制度に先駆けて、空き地を活用して緑地を創出した例の一つだ。個人所有の空き地をNPO法人が地域住民のイベント広場として活用している。民有の空き地などと活動団体とのマッチングを図る柏市の「カシニワ」制度により実現した(写真提供:柏市)
写真2●民間企業の施設として初めて「市民緑地」として認定された「コクーンシティ」
コクーンシティ(さいたま市)は、「パークモール」をコンセプトに街区を形成した商業施設だ。地域住民に緑地・オープンスペースを提供するという方針に基づいた空間が、さいたま市から市民緑地に認定された(写真:片倉工業)

 こうした課題の解決に向けて新たにつくられたのが、この市民緑地認定制度です(写真1、2)。民有地を民有地のまま、民間セクター(民間企業、NPO法人、土地所有者、営農者など)が地域の緑とオープンスペースとして維持管理した場合に、土地の保有税(固定資産税・都市計画税)の減免を図ることができるようになりました。

 民間セクターにとっては、従来の容積率ボーナスや補助金といったインセンティブとは異なる、課税減免という新しいインセンティブとしてこの制度を捉えることもできるでしょう。行政にとっては、課税減免は一時的な税収減となりますが、この制度により空地や民有緑地を活用した都市の活性化が進めば、長い目で見たときには様々な税収増につなげることが可能となります。

 このときに、民間セクターの土地所有者と契約を締結して、市民緑地を設置し、管理する役割を担うのが、「緑地保全・緑化推進法人(通称、みどり法人)」です(※)。市区町村長から認定を受けたみどり法人市民緑地の土地を無償貸付した場合、土地所有者の土地にかかる保有税の一部が減額されます(みどり法人が土地を自己所有している場合も同様です)。

※ 税制・予算措置の適用を希望する場合。希望しないのであれば、みどり法人の認定を受けていない民間主体(NPO法人、住民団体、企業など)でも、市民緑地の設置・管理は可能。

 減税措置を受けるには、緑化地域または緑の基本計画の緑化重点地区内の面積300m2以上の土地を、2割以上緑化し5年以上管理することなどが条件となります。条件を満たせば、土地所有者の固定資産税・都市計画税の一部が、設置から3年間、1/2~1/6の範囲内で、市区町村が条例で定めた割合の税額が減免されます(前提として、市区町村が条例を定めている必要があります)。また、減税は時限措置で、都市緑地法施行日の2017年6月15日から2019年3月31日までの間に設置された市民緑地が対象となります(期間については、国が改めて税制改正をすれば延長可能)。

 なお、「緑地保全・緑化推進法人」は、市民緑地を管理する従前の組織「緑地管理機構」を改正・改称したものです。法改正後、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人だけでなく、まちづくり会社など、都市の緑地の保全や緑化の推進を目的とする営利法人や、認可地縁団体などの非営利法人も指定を受けることができるようになりました。