「あったらいいな」をみんなでつくる公園プロジェクト

 パークコーディネーターの存在が、公園の使い方を変え、地域をも変えている事例を紹介しましょう。武蔵国分寺公園など武蔵野地域の都立公園では、「『あったらいいな』をみんなでつくる公園プロジェクト」が行われています。これは、公園をもっと魅力的な場所にするために、公園に「あったらいいな」とワクワクすることを、みんなで考えてつくり、みんなで楽しむためのプロジェクトです。

 それぞれのやってみたいテーマに賛同した市民が集まり、プロジェクトチームを立ち上げ、企画会議が開かれます。パークコーディネーターは、公園の特性やルールに照らし合わせながら、企画内容を一緒につくり上げていきます。主催者は公園管理者であり、安全管理や占用の許可申請など、市民が苦手とするところをカバーします。

 武蔵国分寺公園ではこれまで、子育てやアートなどをテーマに「Picnic Heaven」や「ぷっぷフェス」、週末のコミュニティカフェ「Sunday Park Cafe」など、5種類のプロジェクトを実施しました。武蔵野公園では市内のまちなかで行われていたイベント「はけのおいしい朝市」を公園に誘致。小学校の跡地に設置された六仙公園では、公園をコミュニティの新たな拠点にしようと、防災や地場産小麦をテーマにしたイベントを開催し、多くの来場者が訪れています。

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「ぷっぷフェス」は、子育て応援イベントとして、ママたちが中心となって企画。掃除や洗濯など日常の動作を遊びに変えて、アトラクションとして親子で楽しめる(都立武蔵国分寺公園)(資料・写真:NPO birth)
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「Sunday Park Cafe」は、まちづくりに携わるベーカリーから、公園でのコミュニティカフェ開催の提案があり実現。春と秋の毎週末に、地元野菜を使った食事を提供し、家族で楽しめるワークショップも実施。地域の居場所ができたことで、緩やかな人のつながりが生まれている(武蔵国分寺公園)(資料・写真:NPO birth)

 公園管理者が、市民との協働でイベントなどを企画するメリットは数え切れないほどあります。例えば、市民のネットワーク力により、多くの協力者や当日の参加者が集まります。運営に必要な資金はプロジェクトチームが協賛金を集めたり、当日の物品や飲食販売の収益で賄ったりできます。

 イベントに参加した人たちが「公園でこんなことができるんだ!」と驚き、「自分もやってみたい」と新たなプロジェクトを提案してくれることは、なによりうれしいことです。

 こうして市民企画が増えると、公園を身近に感じてもらえるようになり、普段の来園者も格段に増えます。すると自動販売機など自主事業の売り上げも伸びて、その収益をまた公園に還元することができるのです。さらに地域とのつながりが深まることで、一方的な苦情・要望が減り、建設的な意見やアイデアが寄せられるようになります。

 市民企画を通して生まれた人と人とのつながりは、地域へ広がり、まちづくりのイベントやコミュニティ・ビジネスの創出など、地域を活性化する事業に展開しています。武蔵国分寺公園の周辺は実際に人口が増え、子育て世代がぐんと多くなりました。

 市民の意欲がエンジンとなってつくり上げられたプロジェクトは、1日のみのイベントにとどまらず、様々な波及効果を生み出しているのです。

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「はけのおいしい朝市」は、小金井市を中心とした地域のカフェやフラワーショップ、料理教室などが市内で定期的に開催しているイベント。パークコーディネーターが実行委員会と協議を重ね、公園での朝市を実現した(都立武蔵野公園)(資料・写真:NPO birth)
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「麦の収穫祭~東久留米麦まつり」は、「柳窪小麦」など地場産穀物の魅力を伝えようと、地元の小麦農家やベーカリーが出店。石臼挽きやわら細工ワークショップなど小麦にちなんだプログラムを実施。駅が遠く、駐車場もない公園に、数千人が来場する地域イベントへと成長した(六仙公園)(資料・写真:NPO birth)