公園はコミュニティを育てるインキュベーター

 「あったらいいな」のプロジェクトを始めた理由は、「公園はなんでも禁止で、行ってもつまらない」「やってみたいことはあるけど、手続きが難しそうだし、許可されそうにない」という市民の声を聞いたからです。市民が主役のはずの公園が、そんな風に思われていては残念です。

 けれど、市民が自分たちで何か企画しよう、イベントを開催しようと思っても、様々なハードルがあるのは事実です。市民には、公園で何ができて何ができないのか、どうすれば実現へ向けて物事を進められるのか、見当がつかないでしょう。一方の管理者側も、個人や任意の団体に、大勢の人々が集まるような企画を任せるのは慎重にならざるを得ません。不慮の事故や事件が起これば、主催者の市民側も管理側も大きな責任を負うことになるからです。

 しかし、公園を生き生きと面白くさせるのは、一般市民のアイデアと行動力です。自分たちで考えた企画を運営することは、とてもクリエーティブでわくわくする体験です。来園者も喜んでくれて、次は一緒にやりたいと仲間が増えていく――。そんなプラスのスパイラルが生まれると、公園の捉え方が変わってきます。公園は「あるもの、使うもの」から「生かすもの、使いこなすもの」となり、そのプロセスで出会った人々のつながりは、やがて地域へとにじみ出していきます。公園というオープンスペースが、コミュニティを醸成するインキュベーターとして機能し、地域社会を豊かに変えていくのです。

 次回は、パークコーディネーターが市民とともに企画をつくり上げていくプロセスについて解説します。

前述の「Picnic Heaven」はKBJと名付けたチームが企画している。イベントをきっかけに仲間が集まり、国分寺駅南口にカフェレストラン「KBJ KITCHEN」を開店した(写真:NPO birth)
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
「公園と絵本の日」は、公園に100冊の絵本が寄付されたことをきっかけとしたイベント。絵本を軸に地域の書店、フラワーショップ、ベーカリー、農家などが企画に参加。読み聞かせや絵本ワークショップを開催(都立武蔵国分寺公園)(資料・写真:NPO birth)
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]
「てのわ市」は「身近にある素敵なものたち」をテーマに、クラフト・食・音楽を楽しむイベント。19年度は地域のアーティストやレストランなど約90の出店者があり、7000人を超える来場者があった(都立武蔵国分寺公園)(資料・写真:NPO birth)
ランドスケープ経営研究会
Landscape and Business Development Association, Japan
2017年10月に一般社団法人ランドスケープコンサルタンツ協会が設置した研究会。略称LBA。都市公園法等の改正を受け、Park-PFI等「ランドスケープ経営」に関心のある企業、団体、個人を募り、公園から始まるまちづくりのための公民連携方策の技術・情報交流、研究・提言を通じ、新たな時代の緑とオープンスペースにおけるビジネスモデルを構築することをミッションとする。収益施設のビジネスを得意とする民間事業者と、公園など造園/ランドスケープに関わる業界が集結することによって、多様な主体の協働による新たなまちづくりへの取組みを推進する。公式サイトURLはhttp://www.lba-j.org/