• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

PPP/PFIと公的不動産のいま

記事一覧

第13回 公的不動産における収益確保に挑む(1)定借スキーム

奈良県養徳学舎が先駆けに

解説:福島 隆則=三井住友トラスト基礎研究所投資調査第1部主席研究員、構成:坂井 敦=フリーランス【2017.12.6】

 このスキームは元々、米国ワシントンDCのオイスター・スクール建て替えプロジェクトで採用されたものだが、日本でも広く研究され、使われるようになった。象徴的なのは、東京都の豊島区庁舎や渋谷区庁舎の建て替えプロジェクトであるが、先駆けとなったのは、文京区にある養徳学舎のプロジェクトだ(図表4)。

 養徳学舎は、奈良県が所有する県出身者向けの学生寮だが、旧建物は老朽化が進んでいた。そこで民間事業者のヒューリックが寮を建て替え、完成後の建物を奈良県に譲渡した。

図表4:奈良県養徳学舎建て替えプロジェクトのスキーム
(資料:ヒューリックの資料をもとに三井住友トラスト基礎研究所作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 ヒューリックは同時に、敷地の一部を奈良県から定期借地し、賃貸マンションを建設。県が支払う新しい学生寮の買い取り代金は、ヒューリックが支払う定期借地権設定の権利金などと相殺している。これにより奈良県は、資金負担なく老朽化した養徳学舎を建て替えることができ、ヒューリックは好立地でマンション開発ができた。

定期借地権を活用したBiVi藤枝

 一方、定期借地権を設定した公有地上に、公共施設を含む複合施設を民間事業者が建設するスキームもある。公共側は、完成した複合施設のテナントとして一部フロアを賃借し、そこで公共施設を運営する。その際、民間事業者に支払う賃料を、地代や固定資産税などの受取と相殺し、資金負担の極小化を図るというものだ。

 静岡県藤枝市にある複合施設のBiVi藤枝は、このスキームを用いた事例だ。JR藤枝駅に近接する旧市立病院跡地に、市が20年間の事業用借地権を設定。民間事業者の大和リースが、そこに図書館を併設した商業施設を建設し、所有・運営するものだ。

 建物は地上5階建て、延べ床面積約2万9千㎡の規模で、3階フロアに図書館が入居した。この図書館について藤枝市が支払う賃料は、市が受け取る地代などとほぼ相殺されるため、藤枝市は資金負担なく、新しい図書館を整備できたことになる(図表5)。一方、大和リースも、駅前の好立地で商業施設を所有・運営することができた。図書館と商業施設で、集客上の相乗効果もあるという。

図表5:BiVi藤枝の整備スキーム
(資料:大和リースの資料をもとに三井住友トラスト基礎研究所作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 PREに民間施設を合築・併設するスキームや、証券化を通じて投資資金を活用するスキームについては、次回のコラムで解説する。

福島 隆則(ふくしま たかのり)
三井住友トラスト基礎研究所 投資調査第1部 主席研究員
福島 隆則(ふくしま たかのり) 1967年生まれ。早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了(MBA)。自治体のPPPアドバイザリー業務や、インフラ投資の調査・コンサルティング業務に従事。内閣府「民間資金等活用事業推進委員会」専門委員。経済産業省「アジア・インフラファイナンス検討会」委員。国土交通省「インフラリート研究会」委員。国土交通省「不動産証券化手法等による公的不動産(PRE)の活用のあり方に関する研究会」委員など。早稲田大学国際不動産研究所招聘研究員。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)。著書に『よくわかるインフラ投資ビジネス』(日経BP社、共著)、『投資の科学』(日経BP社、共訳)。
企画・運営
  • 日経BP総研
お知らせ
健康ソリューション

<注目!>医療、福祉、スポーツ、ウォーキング、食育……「健康」と地域活性化を結び付けた取り組みが活発化しています。

記事サーチ

都道府県別記事一覧

「新・公民連携最前線」の掲載記事を都道府県別にご覧いただけます。「地方創生」「CCRC」「コンセッション」など注目キーワードの記事一覧も用意しました。

ページトップへ