都心における課題は自転車と歩行者への対応

 実証実験は、自動運転の「レベル2」(オペレーターが常に運転状況を監視操作)で実施し、バス自体が直進や加減速、右左折、停止を自動で行い自律走行する。走行は特に専用の車線を設けることなく、複数車線では一番左の車線を他の車と一緒に混在して走行。自律走行に必要な測位システムはGNSS(測位衛星システム)を使い、障害物の検知や車両の停止まではすべて自動で行うが、路上駐車などがある場合は運転席のオペレーターが操作して回避する。また、今回のシステムでは信号の認識についても対応していないので、オペレーターによる判断で停止・発車している(写真3)。

(写真3)一般道路で複数車線の左側を自律走行するが、大きな交差点ではオペレーターの手動による操作となる(写真:元田光一)
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(写真3)一般道路で複数車線の左側を自律走行するが、大きな交差点ではオペレーターの手動による操作となる(写真:元田光一)
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(写真3)一般道路で複数車線の左側を自律走行するが、大きな交差点ではオペレーターの手動による操作となる(写真:元田光一)

 今回の実験で鶴舞エリアが選ばれた理由は、市内でも交通量が多いだけではない。「愛知県は2024年度に、鶴舞エリアにスタートアップ企業が集まる大型施設をオープンさせる計画がある。そうした背景から、県の産業振興という観点で鶴舞エリアがターゲットとして浮き上がった」(中野氏)。

 今回の実験の目的の1つである、「地域住民への受容性向上」という点に関しては、「Nanamobiを見かけると手を振る近隣住民や何度か利用される方もおられ、自動運転の理解も深まってきたと感じている」(中野氏)。

 都心での自動運転の課題として、交通ルールを守らない歩行者や道路を走る自転車への対応などがある。今回の実証実験の中でも、「自転車が一番苦手に感じた」という。「近くに自転車がいる場合は、センサーが反応して停止できるが、車の直前を全速力で横切ろうとする場合は手動での回避が必要になることもある。他にも、大きな横断歩道では、一度に渡り切ろうとする人が走ってくるので、その対応も難しい」(中野氏)。今回の実験では、オペレーターと保安員がしっかりと確認して走行したが、「道路側のインフラの整備も、今後の検討項目である」(同)。