AI活用型オンデマンドバスの実証実験

 塩尻市は2020年11月1日~30日に、市内70カ所の乗降拠点を想定したAI(人工知能)活用型オンデマンドバスの実証運行を行った(図3)。車両はトヨタハイエースを使用し、オンデマンド予約のシステムはネクスト・モビリティが提供する「のるーと塩尻」を活用(写真2)。乗車の予約は基本的にスマートフォンのアプリで行うが、利用者の多くは高齢者になることを想定して、電話でも予約できるシステムとした。今回の実験では、高出地区、桔梗ヶ原地区の全エリアと大門・広丘郷原・洗馬・塩尻東地区の一部エリアを対象とし、「1カ月間で1500ライド、1日50乗車を目指していたが、総乗車数1675ライド、総乗客数2410人と目標を上回って達成できた」(太田氏)。

(図3)AI活用型オンデマンドバスの乗降拠点。青いポイントは人口が密集した住宅地やロードサイドの商業施設。赤いポイントは外出の目的地となる駅周辺の施設。紫のポイントは商業施設とワイナリーなど(資料提供:塩尻市)
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(写真2)塩尻市のAI活用型オンデマンドバス「のるーと塩尻」で使われた車両(撮影:元田光一)
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 利用者へのアンケートでは、概ね高い評価を得たという。アプリで予約してから乗降拠点にバスが来る待ち時間は平均で10分弱(8分32秒)となり、「目的地までは自家用車と同じくらいの時間で到達できるので利便性が高く、ヘビーユーザーも現れた。朝や夕方の通勤時間帯や休日など予約が集中する時間帯には、もっと台数を増やして欲しいとか、待ち時間をさらに減らして欲しいという声が聞かれた」(太田氏)。

 こうした利用者からの声をもとに、次のステップとして価格設定を分析したいと考えている。「行政としては利用者を増やしつつ経費を一定に抑えたので、そこの境目をどこにするかを設定している。今回の実証実験で、ある程度目処が立てられると思っている」(太田氏)。

 塩尻市では、こうしたオンデマンドバスの実証実験で得られたデータを活用する検討も進めている。特定の日の乗降者数や平均待ち時間、乗車時間などの他、車両の動向を細かく把握するフリート分析も可能になっているので、エリアに応じた運行台数や時間帯に応じた配車など車両管理などに生かしたいという。「恐らくシーズンによっても、観光客の利用状況で配車は変わってくると思われる。そういったことを想定し、常に流動性を持たせるような実験もしたい。来年度以降となる次の実証実験では、有償運行も計画している」(太田氏)。