全国に展開する「チョイソコ」事業

 2021年1月現在、「チョイソコ」には全国で約7500人が登録している。豊明市の登録者全体での平均年齢は74歳だが、各地のチョイソコ利用者全体の平均年齢はさらに高く79.4歳になっている(図5)。

(図5)「チョイソコとよあけ」での搭乗実績(資料提供:アイシン精機)
(図5)「チョイソコとよあけ」での搭乗実績(資料提供:アイシン精機)
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 加藤氏は、「豊明市では住民に迷惑をかけることなく順調に運行できるようになり、乗り合い送迎のシステムではほぼ完成したと思っている」と語る。ドライバー向けの操作タブレットも余計な機能をどんどん削っていき、今は操作ボタンを3つに絞って、初めてタブレットを触る人でも使えるようカスタマイズを続けてきた。

 こうした経験やノウハウを全国展開に生かそうとしている。2021年1月現在で、「チョイソコ」は全国の13地区で展開されており、年内での運行開始が予定されている地区も多くある(図6)。

(図6)「チョイソコ」の全国展開状況(2021年1月時点)(資料提供:アイシン精機)
(図6)「チョイソコ」の全国展開状況(2021年1月時点)(資料提供:アイシン精機)
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 加藤氏は現時点での感触として、「チョイソコ」の導入は、交通の不便さが深刻化な地域の方が使われやすいと感じているという。「例えば、鉄道が敷かれていない長崎県五島市の離島(富江半島地区に20年10月から導入)では、バスの運行が少なくタクシーもあまりない。こういった地区では、チョイソコの運行を開始するとすぐに満員になる。五島市では当初、導入から6カ月間の予定で実証実験を行なう計画だったが、周辺地域にも走行エリアを広げてほしいという要望に応え、21年4月から3部落を追加して9月まで実証実験を継続する」(加藤氏)。

 それに対して、他の交通機関があるところは期待しているほど利用されていないという。「自治体がバス会社に遠慮して、チョイソコを駅にアクセスさせないケースもある。なにより、成功する自治体では担当者が熱心に取り組み。住民への周知もわれわれと一緒になって動いてくれることで、利用促進につながっている」と加藤氏。自治体の取り組み姿勢の違いも利用度に影響しているようだ。