日本初、対馬で自動運転車にナンバープレート

 続いて、現在、法律をはじめ、技術、保険、地方創生といった4部門が結集し、長崎県対馬市や静岡県伊豆市、香川県小豆島などで自動運転の社会実装化に挑戦している。明治大学 専門職大学院法務研究科 専任教授で、同大学の自動運転社会総合研究所長を務める中山幸二氏から、それらの取り組みの現状が紹介された。

 明治大学自動運転社会総合研究所は、自動運転社会に向けた複合的な課題に対して、技術から社会、経済、地域に関する横断的な研究を通じて解決策や改善策を探るために2018年3月に設立した学際的な研究組織だ(図2)。

(図2)地方創生への寄与を目指す明治大学自動運転社会総合研究所(資料:明治大学)
[画像のクリックで拡大表示]

 対馬は国内の離島として3番目の面積を持ち、約3万1000人が住んでいる。韓国などを中心に、年間40万人近い観光客が訪れる観光都市となっているが、高齢化や人口減少、学校の統廃合が進んでいる。また、島内唯一の公共交通機関であるバス事業における人材不足や、林業振興や漂着ゴミ回収などの環境対策が課題になっている。それらの解決策の1つとして、自動運転が期待されている。

 明治大学と対馬市と連携協定を結び、自動運転の実証実験を開始する予定である。車両は仏NAVYAの自動運転シャトルバス「ARMA」を使用し、「ハンドルもブレーキもない自動運転車にナンバープレートを付けて走らせるのは、日本で初めてとなる」(中山氏)という。

 かつての別荘地が人口減少で過疎化している伊豆市でも、自治体と協同で自動運転の実証実験を行う準備を進めており、小豆島においては明治大学のほかに香川大学と群馬大学を合わせた3大学連合で自動運転の実証実験を行う。

 明治大学自動運転社会総合研究所では、4部門以外にも派生プロジェクトとして医療AI部門や実装化部門が活動を始めている。医療AI部門は東邦大学と協同研究を行い、実装化部門では社会実装化研究会を立ち上げた。社会実装化研究会では、サプライヤーやメーカー、保険事業者、弁護士などが集まった「自動運転の社会受容性に関する研究ユニット」が、毎月1回開催されている。

 中山氏は名古屋大学COIの取り組みに対して、「高齢者が元気になるモビリティ社会の実現というのは、われわれが目指しているテーマと同じである。高齢者だけでなく、子供も元気になる。また、高齢者と大学生などが交流する場を作ることがわれわれの目的である」と述べた。