自動運転の実現に向けた警察庁の取り組み

 政府は2020~2025年頃までに、高速道路におけるレベル3での自動運転やトラックの隊列走行や、限定地域でのレベル4の無人自動運転サービスの実現を想定した交通ルールの検討を行っている。これを受け、警察庁では調査検討委員会を設置し、2つのワーキンググループを通して議論を進めている。

 ワーキンググループの1つ「道路交通法のあり方に関する検討」では、現時点の道路交通法に対して、自動運転を想定したルールのあり方を考える。一方の「新技術・新サービスに関する検討」では、「トラックの隊列走行を実現した場合の影響」や「レベル4の無人自動運転サービスが導入された場合の影響」という2つのテーマで検討が進められている。

 現時点では、レベル3の実現に向けた道路交通法の改正試案が策定されており、これについて警察庁の渋谷氏は、「警察庁は、自動運行装置の定義などに関する規定の整備、自動運行装置を使用する運転車の義務に関する規定の整備、作業状態記録装置による記録等に関する規定の整備といった内容で道路交通法を改正しようとしている」と言う。

 警察庁では、自動運転システムの実用化に向けた研究開発も行っている。その1つが、「クラウドを活用した信号情報の提供」である。「信号情報を電波でも受信し、自動運転で活用したいという声がある。現状でも道路側から直接移動車と通信を行うVtoI(Vehicle to Infrastructure)での情報提供が行われているが、他の通信手段やモバイル通信を使って信号情報が受信できるようにして欲しいという要望がある」(渋谷氏)。

 そこで信号情報をサーバーに送り、その情報を5Gもターゲットに入れた無線通信で送信するために、クラウド活用技術の研究開発を2018年度から開始している。2019年度は仮想システム上での情報提供手段の検討や、モデルシステムの仕様検討が行われている。

 警察庁では、通常車両と自動運転車両の混在交通下における交通安全の確保に向けた、VtoX情報の活用の検討も進んでいる。2018年度からは、混在交通が車の流れにどう影響を与えるのかをプローブ情報(走行履歴や挙動履歴といったデータ)などを使って分析した、交通安全に関わる管制業務についても検討がスタートした。

 東京臨海地域における実証実験では、お台場の信号機から700MHz帯の電波を使い、車両に対して直接信号情報を送る工事を2019年度に実施する。2019年10月から2022年度末まで、信号情報を受け取って自動運転車が走行する実験を行う予定である。