利用者の反応は良好

 キッチンカーの利用者に対して神戸市が実施したアンケートは、2週間で4912枚を回収できた。利用者の傾向としては東有野台、秋葉台ともに約6割が女性で、年齢層は両エリアともに60代以上が約3割を占めているが、全体的に幅広い世代が利用している(図5、6)。女性の利用が多かったという結果について、神戸市都市局都市計画課係長の乃口智栄氏は、「現地で見ていると家族で来る利用者も目立ち、その場合は主婦が会計することが多いので、アンケートにはある程度偏りがありそうだ」とみている。

(図5)利用者の性別(資料提供:神戸市)
(図5)利用者の性別(資料提供:神戸市)
[画像のクリックで拡大表示]
(図6)利用者の年齢層(資料提供:神戸市)
(図6)利用者の年齢層(資料提供:神戸市)
[画像のクリックで拡大表示]

 利用者の居住エリアについては、それぞれのエリアの地元や周辺地域から来た利用者が約7割くらいだが、約2割がそれ以外の地域からの利用となっている(図7)。この結果については、「新聞やテレビの報道で取り上げられたことが理由であるとみている」(乃口氏)。神戸市としては徒歩や自転車での利用を想定していたが、遠方からの利用者は自家用車を使ってやってきたと見られ、「住宅地の中なので駐車場の設備がなく、路上駐車対策が課題として残った」(乃口氏)。

(図7)利用者の居住地(資料提供:神戸市)
(図7)利用者の居住地(資料提供:神戸市)
[画像のクリックで拡大表示]

 キッチンカーで料理を購入した利用者の満足度はどちらのエリアも高く、「大変良い」もしくは「良い」と答えた人が99%となった(図8)。また、今後もキッチンカーを利用したいとの回答も9割を超える結果となっている。

(図8)キッチンカーを利用した満足度(資料提供:神戸市)
(図8)キッチンカーを利用した満足度(資料提供:神戸市)
[画像のクリックで拡大表示]

 飲食店の必要性については、どちらのエリアも「付近に飲食店が必要」という思いを持つ回答が多く、飲食店以外で必要と感じる施設に関しては、一番多いのが両エリアとも「パン屋」となり、それ以外では「コンビニエンスストア」や「小規模スーパー」「喫茶店」などが続いている。

 今後のキッチンカーの取り組みについても「必要」という意見が両エリアとも9割を占め、その際に実現して欲しい要望としては、「駐車場が欲しい」「注文してからもっと早く商品が受け取れる工夫をして欲しい」「野菜の移動販売もやって欲しい」などがあった。

 一方、出店した店舗に対するヒアリングでは、「キッチンカーで営業場所を移せたことが大変ありがたい」「キッチンカーの購入を検討しているが、実際のオペレーションにいい経験になった」「住宅団地なので利用者も少ないと思って出店したが、予想を大きく上回る来店で飲食店の可能性が再認識できた」など、参加して良かったという意見が多く見られた。また、実証実験の継続について「同じ場所で出店したい」など、団地に愛着を示した店舗もあった。

 取り組みを通しての気づきとしては、駐車場を要望する店舗から「駐車スペースがなくて周りに迷惑をかけるのも困る」といった意見があり、「住宅団地のニーズを把握しながら、駐車場をどうするのかを今後の課題と考えたい」(乃口氏)。他にも、出店した店舗から「他の店舗とメニューが被らないように考える必要がある」「実店舗との連携をどうするか考えなければならない」といった感想があった。

 さらに、住宅団地でのキッチンカー事業の可能性については、「可能性が大いにあると感じた」「最初は諸条件が悪いと思ったが、店舗が何もない地域だからこそ強いニーズを感じた」などの意見があった。

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言は一旦解除されているが、従来通りには繁華街の賑いが戻らないことも考えられる。アフターコロナ/withコロナ時代への対応を考えていく中で、「店舗側も自らの経営形態を考えるツールの1つとして、キッチンカーを積極的に検討し始めたようだ」(乃口氏)。