厳しくチェックされた産直施設の経営計画

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人気産直施設「紫波マルシェ」。2014年度の年間売り上げ(27年5月決算・速報値)は4億6600万円(前年比113%)、レジ通過者数26万4549人(前年比106%)と、消費税アップにもかかわらずオープンから3年連続で売り上げを伸ばした。実は、金融機関からの事前チェックが一番厳しかったのがこの産直施設だった(写真:日経アーキテクチュア)

 オガールプラザの場合は、行政に頼る道を断った民間が、補助金に頼らなくても確実に継続できる事業計画を作成するために、政府系金融機関(財団法人民間都市開発推進機構)と市中金融機関(東北銀行)に事業の可否について相談して進めていきました。そして、金融機関から幾度となく浴びせられた、むだをなくすための指摘事項を正面から受け止めて事業を構築していきました。我々はこれを「愛の千本ノック」と表現していますが、この過程で特に指摘と改善を促されたのが「各年のキャッシュフロー」の確実性です。

 それを実現するために、我々は減価償却期間が短い木造建築を採用することに決め、損益では赤字でもキャッシュフローは確実にプラスを維持し内部留保を高めるスキームにしました。木造建築が事業の条件となったために、事業規模を3階建てから2階建てにスケールダウンしました。理由は、一番稼ぎの低い3階の建設コストが木造で建設した場合極度に高くなってしまい、不動産事業としての経営が難しくなるからです。

 また、金融機関から特にチェックされたのが、皆さん驚かれるかもしれませんが、産直施設(紫波マルシェ)の経営計画でした。

 なぜ不動産の店子の経営計画を金融機関が厳しくチェックするのか!?全国各地で見られる再開発事業等で事業が行き詰まる原因の多くは、テナントの経営不振です。なぜそのような事が起こるのかと言えば、その多くは、事業の計画段階でテナントのリーシングで安堵してしまい、事業者および金融機関がそのテナントの経営計画までは厳しくチェックしていないことが原因です。オガールプラザ整備事業の場合は、金融機関が、テナント入居率を100%にしてスタートするのは当たり前で、その先にあるテナントの経営計画をも審査し資金供給に至った点が従来型の公民連携の事業とは違うところです。まさに事業に関わるすべての関係者が金融機関によって鍛えられたのです。

 オガールプラザでは、民間都市開発推進機構の出資によって地元金融機関からの融資を引き出しました。テナントもほとんど地元資本です。名実ともに域内経済を活性化する事業として成り立っているのです。