事業が中止になることを恐れない

 民間による公有資産活用のメリットは官民双方にあります。まず官にとっては、手持ちの資金が少なくても必要な公共サービスを提供できる上、土地代、固定資産税による歳入が増えることです。また、建設の際には民間のテナントと同居することによって採算性が重視されるため、公共施設部分の施工単価も格段に安くなります。

 一方、民間側にとってもメリットが存在します。我々が考えたのは、消費を目的としない人を集めるプロセスを踏んだことです。オガールプラザ事業では、図書館などの公共施設部分を集客装置に見立て、民間テナントを募り集客の相乗効果を狙ったのです。公共サービスを受けるために来館する人たちは、民間テナントにしてみれば大事なお客様なのです。公共施設と商業・サービス業テナントとの組み合せを実現し、経済的に採算性のない公共施設を集客装置と見立て、民間テナントの営業のアシストをさせる仕組みをつくりました。その一方で民間テナントが支払う賃貸料収入の一部を、その公共施設の維持管理費に充てることにしたのです。

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公共施設である図書館と情報交流館を集客装置に見立てた(写真:オガールプラザ)

 そして、このような民間による公有資産活用というスキームの最大のメリットは、民間が金融機関の協力を得ながら企画、建設、管理、運営を一括で担っていく中で、その金融機関との協議の結果、「将来的に事業が自立することができない」と結論付けられたなら、事業そのものが中止になるということです。

 読者の皆様には、事業が中止になることが公民連携事業の大きなメリットなの!?と思われる方もいらっしゃると思います。しかし、誰も責任を取らず、情緒的に進められる従来型の行政主導の地域活性化事業では、完成後も維持管理のための多大な資金が必要となります。これは将来にわたって負債を残すことと何ら変わりありません。前述した通り、人口が増える時代は終わりました。公共が維持する不動産(ハコモノ)を軽率に建設する時代はすでに終わっているのです。

変わりつつある地方の金融機関

 しかしながら、このように金融機関と共に地域に必要な事業を構築する上で大きな問題があります。それは、地方の金融機関が公民連携事業に前向きに取り組む体制やノウハウを持っているのか、という問題です。公民連携事業は、いわば公共が担っていたあまり稼ぐことができない事業を扱うことになります。つまり、金融機関にとっては最初から事業の継続性を評価するのは難しい案件ということになります。担保主義で地域に資金を供給してきた金融機関は、すぐにあきらめてしまうかもしれません。

 でも、時代は変わりつつあります。公民連携事業への融資に挑戦しようと思っている金融機関は確実に増えてきています。事実、私が最近講演を依頼されるセクターの一番は金融機関です。つまり、それくらい、地域の金融機関も貸出先の開拓に苦しんでいる証拠だと思います。

 公民連携事業に必要な資金は、みなさんの街に必ずある金融機関にありますよ!

一般社団法人 公民連携事業機構
「公共が持ち得る施設機能と民間が持ちうる産業機能を融合し、低投資かつ効率的な経営を実現する『公民連携事業』の具体的推進を通じ、より幅広い国民福祉を実現する」ことをミッションに、まちづくりの実践経験豊富な清水義次氏、岡崎正信氏、木下斉氏が2013年5月に設立(三氏のプロフィールはこちら)。2015年7月から、東北芸術工科大学と共同で、eラーニングと集合研修による公民連携力の実務と実践を1年間で身に付ける「公民連携プロフェッショナルスクール」を開校。