地元農家が育てたオーガニックな野菜、自然飼育の肉、サステナブルな漁法で獲った天然の魚を使い、素材の良さを生かした料理を供する。その日の仕入れに合わせてメニューは1種類だけ――。1971年に米国カリフォルニア州バークレー市でオープンしたオーガニックレストラン「シェ・パニーズ」は、米国一予約が取りにくいと言われるほどの人気レストランだ。

 オーナーシェフは、アリス・ウォータース氏。地産地消、オーガニック、スローフードの普及に大きな影響を与えていることとも相まって、“レジェンド” と称されることもある人物だ。

アリス・ウォータース氏(写真:宮原 一郎)
アリス・ウォータース氏(写真:宮原 一郎)
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サンフランシスコ郊外のバークレー市にある「シェ・パニーズ」外観。古い民家を改装して1971年にオープンした(写真:宮原 一郎)
サンフランシスコ郊外のバークレー市にある「シェ・パニーズ」外観。古い民家を改装して1971年にオープンした(写真:宮原 一郎)
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「シェ・パニーズ」の客席(写真:宮原 一郎)
「シェ・パニーズ」の客席(写真:宮原 一郎)
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シェ・パニーズでは「隠すものは何もない」ということで調理場もオープンに(写真:宮原 一郎)
シェ・パニーズでは「隠すものは何もない」ということで調理場もオープンに(写真:宮原 一郎)
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 そんなウォータース氏が特に力を入れている活動が、「エディブル・スクール・ヤード(食べられる校庭、以下、ESY)」だ(関連記事)。校庭の一部をオーガニック菜園に転用し、そこで生徒が野菜を育て、調理して皆で食べる。菜園とキッチンには、それぞれに専任の教師を置く。子どもたちは、育てて食べるプロセスの中で、自分が食べるものがどのように育つのか、調理法はどのような来歴を持つのかなどについて学んでいく。皆と一緒につくり、皆で食べる喜びも知っていく――。そんな多面的な食育プログラムだ。

バークレー市のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校でのESYの授業風景。同校でのプログラムの運営はアリス・ウォータース氏が設立した財団、the Edible Schoolyard Projectが担当している(写真:Erin Scott Photography)
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バークレー市のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校でのESYの授業風景。同校でのプログラムの運営はアリス・ウォータース氏が設立した財団、the Edible Schoolyard Projectが担当している(写真:Erin Scott Photography)
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バークレー市のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校でのESYの授業風景。同校でのプログラムの運営はアリス・ウォータース氏が設立した財団、the Edible Schoolyard Projectが担当している(写真:Erin Scott Photography)

 1995年にバークレー市のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア中学校で始まったESYのスキームは、荒れていた中学校の校風が劇的に変化したことから、バークレー市内、そして全米に広がっていった。今では、世界各国5400カ所以上で “食べられる校庭”が導入されている。

 「持続可能な農業」「地産地消」を起点に、地域社会の在り方に大きな影響を与え続けるアリス・ウォータース氏の“おいしい革命”は、日本で地域活性化を進めていくうえでも大きなヒントになりそうだ。

 次ページより、アリス・ウォータス氏へのインタビューをお届けする。