オーストリアの首都ウイーンの市街地から地下鉄で北東へ約40分にあるSeestadtで、ゼロから新都市を開発するスマートシティプロジェクトが進んでいる。面積240haの飛行場跡地を利用した「Seestadt Aspern」である(図1)。

図1 ウイーン市の北東に位置するSeestadtで、2030年の完成目指して建設が進むスマートシティ「Seestadt Aspern」の航空写真(出所:Tovatt Architects and Planners)
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 同プロジェクトは、ウイーン市が推進する同市全体をスマート化するプロジェクト「Smart City Wien」の一環として進められている都市計画である(関連記事)。「Smart City Wien」は、2005年比で住民1人あたりのCO2排出量を2030年までに50%、2050年までに85%削減する目標を掲げている。「Seestadt Aspern」は都市計画段階から抜本的に低炭素化を進めるモデルケースとして開発が進んでいる。

 同地を所有するのはウイーン市で、同市は開発会社としてWien3420 Aspern Developmentを設立して開発を主導している。2008年にスウェーデンの建築設計会社であるTovatt Architects and Plannersがマスタープランを落札した。それを基に、道路や電気、地域熱供給システムなどのインフラやオフィス、居住用ビルの建設が始まった。2019年には、8000人が居住するに至り、約1/4ほどの街区が整備された。新都市のシンボルである人造湖も造られ(図2)、レジャーを楽しむ住民の姿が見られる。2030年には都市のほぼ全体が完成する計画で、その際には3万人が居住する予定だ。

図2 「Seestadt Aspern」のシンボル的存在の人造湖。レジャー施設の一つとして、住民の憩いの場となっている(撮影:日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)
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