「マイクロモビリティ」向けデータサービス事業を市が支援

図3 ポートランド市にあるRide Report本社が入っているビル。元は学校のビルだった(撮影:日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)
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 さらに、ポートランド市の当局も積極的にスタートアップを支援している。

 市による支援の成果の一つが、米Ride Report(図3)が立ち上げた自転車や立ち乗りタイプの電動キックスケーターといった「マイクロモビリティ」向けのデータサービス事業だ。市の交通当局であるPBOT(Portland Bureau of Transportation)が支援・提携している。

 Ride Reportの創業者でCEOのWilliam Henderson氏は、ポートランド市の出身で、米Appleでスマートフォン「iPhone」の開発チームに5年間在籍していたソフトウエアエンジニアである。2015年にポートランド市に戻り、Apple時代に培ってきたAI(人工知能)やマシンラーニングなどのソフトウエア技術を生かして、同社を立ち上げた。オフィスは、学校の廃校を利用して市から安く借り受け、教室を改造して使っている(図4)。

図4 オフィス内部の様子。教室を改造してオフィススペースをつくっている(撮影:日経BP 総合研究所 クリーンテックラボ)
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 Henderson氏はポートランド市との話し合いの中で、同市が特にスマートシティやスマートモビリティ関連のイノベーションを推進、支援していることを知った。そこで、同氏はこれまでの知識を生かし、「マイクロモビリティ向けのソフトウエアを開発することにした」(Henderson氏)という。

 Henderson氏が開発したソフトウエアは、AIを活用し、低消費電力のセンサーからの情報を基に自転車や電動キックスケーターの動きを「1億マイル(約16億km)の距離にわたって自動的に追跡できるものだ」(同氏)という。

 これにより、利用者向けに最適な走行ルートを検索し、乗車履歴を精緻に記録できるサービスを提供できるようになった。加えて、利用者のビッグデータを分析する機能を自治体に提供して、自転車レーンの整備や都市設計の最適化を支援することを可能にした。

 商用化に当たっては、交通当局のPBOTと提携して進めた。市民向けに、試作アプリケーションを提供し、使い勝手についての意見をもらって改善を続けた。さらに、データ分析によって同市の自転車レーンの改善につなげるプロジェクトを経て、実用化に漕ぎつけたという。