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第8回 米国マリン郡、ランカスター市など――自治体が再エネ比率の高い電力を供給、発電事業で地域経済を活性化

藤堂 安人=日経BPクリーンテック研究所【2017.3.23】

 米国で、地方自治体が自ら電力事業を手掛け、再生可能エネルギーの比率の高い電力を供給するケースが増えてきた。米国各州では1990年代後半から電力小売りの自由化が進み、一時は自治体を含め数多くの事業者が参入し、消費者が再エネ比率の高い電力を選択する余地が広がると見られていた。しかし、カリフォルニア州の電力危機などの影響により自由化を取りやめる例が相次ぎ、現在では電力が自由化されている地域は全米14州とワシントンD.C.だけとなっている。

 自由化が進まなかった州や地域では発電、送配電、小売りをすべてカバーする垂直統合型の電力会社だけが残った。当然、消費者に選択の余地がない点は、問題視されるようになった。特に、環境意識の高い消費者が再エネ比率の高い電力を望む声が次第に大きくなってきた。そこで、自治体自らが消費者の選択の幅を広げるため、再エネ電力の小売り事業を強化し始めたのである。

 州政府による法制整備も自治体の電力事業を後押ししている。例えばカリフォルニア州など7州は、自治体が非営利の電力会社を設立して再エネを独自に調達した場合、地域の垂直統合型電力会社の送配電網と料金請求システムを使って、住民に再エネ比率の高い電力を供給する「CCA(コミュニティ・チョイス・アグリゲーション)」という法律を施行した(図1)。

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図1 CCA事業のスキーム
CCA事業者である自治体電力は再エネをさまざまな手法で調達し、既存の垂直統合型電力会社の送配電網を活用して消費者に再エネ比率の高い電力を供給。PPAは電力購入契約、FITは固定価格買取制度。(出所:日経BPクリーンテック研究所)

 CCA法では、CCA事業が始まった地域の住民は、自治体が運営する電力会社から電力を購入することが義務付けられる。移行後に既存の大手電力に選択し直すこと(オプトアウト)が可能なものの、自治体電力への加入率は8割以上と高い。

マリン郡、全米初のCCA事業をスタート

 2010年に全米で最初にCCA法に基づく電力小売り事業をスタートさせたのが、カリフォルニア州マリン郡(Marin County)が設立したMCE(Marine Clean Energy)である(写真1)。導入当初は、マリン郡の住民だけを対象としていたが、隣接する自治体から参加要請が相次ぎ、現在ではナパ郡、リッチモンド市、サンパブロ市、コントラコスタ郡、ソラノ郡の一部地区が加わり、顧客数は2015年に17万人、2016年には23万人を超えたという。

写真1 Marin群にあるMCE本社
(出所:日経BPクリーンテック研究所)

 MCEの運営は住民参加型となっている。運営は自治体出身の17人のボードメンバーからなる運営委員会が担当。ボードメンバーとして派遣される自治体の代表者は、すべて自治体での選挙で選ばれる。また、重要事項は1カ月に1回開催される公開の会議で決定される。

 同社がサービスを提供する地区では、約8割の住民が既存の大手電力会社であるPG&E(Pacific Gas and Electric Company)からMCEに移行したという。これは「PG&Eの料金メニューよりも安価で、再エネ比率が高いメニューを提供しているからだ」と同社の担当者は語る。再エネ比率が高いメニューを安価に供給できるのは、非営利運営で株主配当などの必要がなく、その分多く再エネ調達に投資できるためだという。

 MCEは、再エネをさまざまな手法で調達している。現在多いのは発電事業者とのPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)や卸電力市場からの調達だという。主に、ワシントン州やオレゴン州の風力やバイオガス発電事業者から電力を調達している。

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