Grabがオンデマンド・バスシャトルサービスをスタート

 LTAは、「Beeline」のプラットフォームを使って、バス運用会社が独自のアプリケーションを開発してサービスを展開することで、ビジネスモデルとして定着させることも狙っている。

 例えば、ライドヘイリング(ライドシェアリング)・サービス大手のシンガポールGrabは、「Beeline」を活用したオンデマンド・バスシャトルサービス「GrabShuttle」を2018年3月から開始した。定員13人(図2)、23人、40人乗りのバスを用意し、顧客は専用のアプリケーションをダウンロードするだけで、簡単に運用地域内のルートを事前予約できる。

図2 「GrabShuttle」向けの13人乗りバス。利用者はスマートフォンのアプリケーションで乗車の1カ月前から5分前まで座席を予約できる(出所:Grab)
[画像のクリックで拡大表示]

 運賃はルートによって異なるが、3.5~5シンガポールドル(約280~400円)の間で固定されており、予約時に金額が明示されて、クレジットカードで支払う。Grabはこのサービスを当初、主に通勤・通学客が多い15ルートでスタートした。しかし、2カ月後の4月下旬には32ルートに倍増し、今後は顧客のニーズを見ながらさらにルートを拡充する計画という。

自動運転車の公道走行試験を2015年から実施

 LTAは、市民の交通面での利便性をさらに向上するために、既存車両によるオンデマンド型モビリティシステムの拡充を進める。それと並行して、自動運転車でより利便性が高く、ヒューマンエラーによる交通事故をなくす最適なモビリティシステムの導入を研究機関や自動運転車開発メーカーなどと共同で検討している。

 LTAの計画では、2017年からドライバーが乗車した形で自動運転車の公道走行試験を行っており、2019~2020年にはドライバーレスのテストに移行し、2022年には自動運転車を使ったオンデマンドのタクシーなどのモビリティサービスを本格的に商用化したい考えだ。

 LTAが最初にワンノース地区で自動運転車の公道走行試験の許可を出したのが2015年7月で、その対象はA*STAR(Agency for Science, Technology and Research:シンガポール科学技術研究庁)である。A*STAR傘下の研究所であるI2R(Institute for Infocomm Research)が開発した、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球衛星測位システム)、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)、3次元ライダー(LiDAR)、認識・走行計画用ソフトウエア、ナビゲーションシステムなど組み込んだ車両が公道での走行試験を開始した。今後、企業との連携を強化して実用化を目指すとしている。

図3 NUSとSMARTが開発した自動運転車の公道走行風景。ノースワン地区で走行テストを実施(出所:LTA)

 LTAはまた、NUS(National University of Singapore:シンガポール国立大学)とSMART(Singapore-MIT Alliance for Research & Technology Centre:シンガポール-MIT研究技術連合)が開発した自動運転車に対しても、公道走行試験の許可を与え、2015年9月からノースワン地区で走行テストを開始した(図3)。

 LTAは2017年11月には、NTU(Nanyang Technological University:ナンヤン工科大学)と シンガポール政府系の開発企業であるJTC(Jurong Town Corporation)と共同で、自動運転の開発や普及を目的に、3600万ドルを拠出して、開発センターであるCETRAN(The Centre of Excellence for Testing and Research of Autonomous Vehicles)を設立した。シンガポール政府はCETRANの実証成果を生かして、2020年から市内の3ルートで自動運転バスを運行する計画を持っており、プロジェクトの一環として仏Navyaの「Autonom Shuttle」を導入し、NTUのキャンパスで走行テストをスタートさせている。