シティブランド・ランキング ―住みよい街2017―

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年齢層が上がるほど、住んでいる街へのこだわりが強くなる

[傾向分析編]働く世代にとっての「住みよい街」の条件とは? 男女別・年齢層別の傾向

渡辺 博則=日経BP総研 ビジョナリー経営研究所【2017.12.19】

日経BP総研が運営するウェブサイト「新・公民連携最前線」が実施した、働く世代2万人を対象にしたシティブランド・ランキング調査2017。「シティブランド・ランキング ―住みよい街2017」TOP200として結果をまとめたが、調査では「治安がよい」「買い物がしやすい」「夜間・緊急医療体制が整っている」といった32の評価項目ごとに、「住みよい街の条件と思うか」を尋ね、各評価項目に対する「重視度」も算出した。今回はシティブランド・ランキング調査2017の「番外編」として、項目ごとの重視度をベースに、ビジネスパーソン(有職者=働く世代)が重視する「住みよい街」の条件や、男女別・年齢層別の傾向について分析する。

住みよさで「生活インフラ」「安心・安全」面を最重視

 今回の調査では、「安心・安全」「快適な暮らし」「生活の利便性」「生活インフラ」「医療・介護」「子育て」「自治体の運」「街の活力」という8つの分野で、それぞれ4項目、合計32項目について集計し、ランキングを作成した。その際に、それぞれの評価項目について「住みよい街の条件と思うか」を尋ね、項目ごとの「重視度」も算出した。具体的には、「そう思う=100%」「どちらかといえばそう思う=75%」「どちらともいえない=50%」「どちらかといえばそう思わない=25%」「そう思わない=0%」として、加重平均値を算出し、それを重視度として用いた。

 この重視度を見れば、働く世代にとって、どのような項目が、どの程度「住みよさ」として認識されるのか。「住みよい街」の条件が分析できる。さらに、さまざまな調査セグメントごとに重視度を見れば、男女別・年齢層別などの違いも見えてくる。こうした働く世代にとっての「住みよい街」の条件は、これからの「まちづくり」などにも役立つはずだ。それでは以下で早速、全体の動向から見ていこう。

 まず、全体で重視度が最も高かったのは、「上下水道、ガスなどのライフラインが整備されている」の項目。続いて「治安がよい」「自然災害が少ない」「公共交通機関が充実している」の項目となった。重視度が80を超えたのは、これらの4項目。やはり「生活インフラ」「安心・安全」分野の項目は、おしなべて重視度が高くなる傾向があり、基本的な条件とも考えることができそうだ。

 さらに、重視度TOP10で「生活インフラ」「安心・安全」分野以外の項目を見ていくと、「生活の利便性」分野の「買い物がしやすい」、「医療・介護」分野の「病院や診療所が多い」、「街の活力」分野の「街のイメージがよい」と「街に活気がある」、「自治体の運営」分野の「行政サービスが充実している」の項目が入った。このあたりの項目も重視度の高い条件となってくる。

 一方で、「気候が穏やか」などの「快適な暮らし」分野の項目、「保育所や幼稚園が充実している」といった「子育て」分野の項目については、性別・年齢層の違いなどによって重視度が変わるため、全体では14位以降からの位置付けになったようだ。やはり性別やライフステージをあまり問わずに関係する分野・項目が、重視度の上位を占めてくる。

●「シティブランド・ランキング ―住みよい街2017」の評価項目とした32項目の重視度
全体順位 項目 分類 重視度
1 上下水道、ガスなどのライフラインが整備されている 生活インフラ 86.5
2 治安がよい 安心・安全 86.2
3 自然災害が少ない 安心・安全 82.5
4 公共交通機関が充実している 生活インフラ 82.3
5 買い物がしやすい 生活の利便性 79.6
6 歩道など交通安全に配慮した道路が整備されている 安心・安全 79.3
7 病院や診療所が多い 医療・介護 78.2
8 便のよい幹線道路が整備されている 生活インフラ 76.5
9 街のイメージがよい 街の活力 76.3
10 防犯対策が整っている 安心・安全 75.6
11 行政サービスが充実している 自治体の運営 75.0
11 街に活気がある 街の活力 75.0
13 夜間・緊急医療体制が整っている 医療・介護 74.8
14 気候が穏やか 快適な暮らし 74.0
15 図書館や公民館など文化施設が充実している 生活インフラ 73.8
16 自然環境が豊か 快適な暮らし 73.7
17 公共料金が安い 自治体の運営 73.6
18 街が静か 快適な暮らし 72.5
19 税負担が軽い 自治体の運営 72.4
20 保育所や幼稚園が充実している 子育て 72.0
21 教育機関が充実している 子育て 71.5
22 街に愛着がある 街の活力 71.1
23 物価が安い 生活の利便性 70.5
24 自治体による出産・育児・子育て支援が充実している 子育て 70.4
25 職住接近が可能である 生活の利便性 70.3
26 行政からの情報発信が充実している 自治体の運営 68.7
27 公園が多い 快適な暮らし 68.5
28 小児科/産婦人科が多い 医療・介護 68.1
29 繁華街へのアクセスがよい 生活の利便性 67.2
30 子ども向けの体育・文化活動が盛ん 子育て 67.1
31 地方自治に対する住民の意識が高い 街の活力 66.5
32 介護施設が多い 医療・介護 64.8
※重視度は5段階評価回答の加重平均値(%)

【男女別の傾向】男性は自然環境や静かさ、女性は文化施設や利便性重視の傾向

 次に、男性と女性とで、32項目の重視度にどのような違いがあるのかを見ていこう。

 下の表は男女別の重視度の順位が、男女で3ランク以上異なる項目を色づけしたものだ。男性の場合は、「街が静か」「公園が多い」といった「快適な暮らし」分野の項目を重視する傾向がある。「街に活気がある」や「自然環境が豊か」なども含め、街の雰囲気を重視する、いわば“環境派”ともいえそうだ。

 一方、女性が重視する項目で特徴的なのは、「図書館や公民館など文化施設が充実している」「職住近接が可能である」が上位に来ること。特に、職住近接の項目は男性よりも7ランク高い。「繁華街へのアクセスがよい」といった「生活の利便性」分野の項目も重視されて、女性のビジネスパーソンの場合は、いわば“機能派”ともいえる傾向が見られる。

●男女による項目ごとの重要度の違い
全体順位 項目 男性順位 女性順位
1 上下水道、ガスなどのライフラインが整備されている 1 1
2 治安がよい 1 2
3 自然災害が少ない 3 3
4 公共交通機関が充実している 3 4
5 買い物がしやすい 6 5
6 歩道など交通安全に配慮した道路が整備されている 5 6
7 病院や診療所が多い 7 7
8 便のよい幹線道路が整備されている 8 10
9 街のイメージがよい 9 8
10 防犯対策が整っている 11 9
11 行政サービスが充実している 13 11
11 街に活気がある 10 15
13 夜間・緊急医療体制が整っている 12 14
14 気候が穏やか 15 12
15 図書館や公民館など文化施設が充実している 18 13
16 自然環境が豊か 14 17
17 公共料金が安い 16 16
18 街が静か 16 24
19 税負担が軽い 19 19
20 保育所や幼稚園が充実している 20 18
21 教育機関が充実している 20 21
22 街に愛着がある 22 23
23 物価が安い 24 22
24 自治体による出産・育児・子育て支援が充実している 23 25
25 職住接近が可能である 26 19
26 行政からの情報発信が充実している 28 26
27 公園が多い 25 31
28 小児科/産婦人科が多い 27 28
29 繁華街へのアクセスがよい 30 27
30 子ども向けの体育・文化活動が盛ん 29 30
31 地方自治に対する住民の意識が高い 30 29
32 介護施設が多い 32 31
※重視度は5段階評価回答の加重平均値(%)。濃いオレンジ/青色の欄は男女の順位差が5以上、薄いオレンジ/青色の欄は3以上(5未満)の項目

【年齢層別の傾向】20〜30歳代は、街へのこだわりが薄い傾向

 では、年齢層別に見ると、どのような差が出てくるのだろうか。今回の調査の対象となったビジネスパーソンを20歳代、30歳代、40歳代、50歳代に分けて比較してみると、全年齢層にわたって重視する項目の傾向は似ているものの、その数値については年齢層が上がるほど上昇する。また、20~30歳代のグループと、40〜50歳代のグループで異なってくる。30歳代を境に、40歳代から各項目の重視度が大きく上がる傾向がある。40〜50歳代に比べて、20~30歳代は街へのこだわりはまだ薄いといえそうだ。

 その境界となる30歳代と40歳代の重視度の差分を見てみると、8ポイント以上上昇する項目は「公共交通機関が充実している」「街に活気がある」「夜間・緊急医療体制が整っている」の3つ。7ポイント以上(8ポイント未満)上昇する項目は「治安がよい」「上下水道、ガスなどのライフラインが整備されている」「防犯対策が整っている」の3つだった。交通機関や医療体制、治安やライフラインといった住みよさに関する項目で、より重視度が上昇する傾向があることが分かる。

 一方、「繁華街へのアクセスがよい」「保育所や幼稚園が充実している」といった項目では、30歳代と40歳代で重視度の差はそれほど出なかった。

●年齢層別に見た32項目それぞれの重視度①
[画像のクリックで拡大表示]
●年齢層別に見た32項目それぞれの重視度②
項目 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代
治安がよい 78.7 81.4 89.2 90.4
自然災害が少ない 76.4 78.0 84.3 86.6
歩道など交通安全に配慮した道路が整備されている 73.4 75.1 81.7 82.9
防犯対策が整っている 68.3 71.0 78.2 79.8
気候が穏やか 70.0 70.6 75.1 77.3
自然環境が豊か 68.7 70.2 75.3 77.1
公園が多い 62.3 65.4 70.3 71.5
街が静か 68.5 69.6 73.8 75.2
職住接近が可能である 67.3 69.1 72.3 70.7
繁華街へのアクセスがよい 65.9 67.1 68.4 66.7
物価が安い 66.7 66.9 72.1 73.3
買い物がしやすい 75.1 76.3 82.0 81.9
上下水道、ガスなどのライフラインが整備されている 80.4 81.9 89.4 90.0
公共交通機関が充実している 75.7 77.5 85.6 85.8
便のよい幹線道路が整備されている 71.4 72.5 78.9 79.5
図書館や公民館など文化施設が充実している 67.9 69.6 76.3 77.2
病院や診療所が多い 73.2 73.8 80.6 81.7
小児科/産婦人科が多い 65.7 66.5 69.7 68.8
夜間・緊急医療体制が整っている 68.0 69.6 77.6 79.0
介護施設が多い 62.2 61.5 65.2 68.0
保育所や幼稚園が充実している 69.5 70.7 73.4 72.6
教育機関が充実している 68.2 68.9 73.4 73.0
子ども向けの体育・文化活動が盛ん 64.4 65.3 68.5 68.1
自治体による出産・育児・子育て支援が充実している 68.1 68.7 72.3 71.0
行政サービスが充実している 69.5 71.1 77.5 77.9
公共料金が安い 70.5 69.7 75.5 76.4
税負担が軽い 68.6 68.4 74.5 75.2
行政からの情報発信が充実している 63.7 65.0 70.7 71.6
街に活気がある 68.0 70.2 78.3 78.5
街のイメージがよい 71.5 72.3 78.6 79.5
地方自治に対する住民の意識が高い 62.0 63.2 68.2 69.1
街に愛着がある 66.7 67.3 73.0 74.3
※重視度は5段階評価回答の加重平均値(%)

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