2014年9月と非常に早い段階からアクティブシニアを対象としたCCRC構想推進を議会で表明した新潟県南魚沼市。「南魚沼版CCRC推進協議会」を立ち上げ、着々と具体的なまちづくりのプランを練り上げている。人口6万人ほどの地方都市がCCRCによって活性化すれば、全国の自治体の手本にもなる。南魚沼市総務部企画政策課長の清水明氏が、その現状を報告した。

南魚沼市企画政策課長 清水 明氏
南魚沼市企画政策課長 清水 明氏
2005年南魚沼市商工観光課商工振興係長、2009年総務部企画政策課企画主幹を経て、2013年から現職(写真:栗原克己)
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 南魚沼市ではこの10年間で人口が4000人減少した。地方創生の総合戦略を定める中で、何とか人口減少に歯止めをかけていきたいとの思いから、CCRCを基軸事業として位置づけている。

 南魚沼市は上越新幹線、関越自動車道と交通アクセスに恵まれており、新幹線だと東京駅から浦佐駅まで約1時間30分、車だと大和スマートインターチェンジまで約2時間ほどの距離にある。

 新幹線の浦佐駅、大和スマートインターチェンジ、国際大学、国際情報高校、魚沼基幹病院、こうしたさまざまな施設が半径2キロのエリアに凝縮されている。近隣には「八色の森公園」があり、健康づくりの環境も整っている。ウォーキング、ランニング、サイクリングと、盛んにイベントが開催されている場所だ。南魚沼版CCRCはこのエリアが中心となる。

留学生や既存住民とグローバル・コミュニティを形成

 2015年11月20日に「南魚沼版CCRC推進協議会」で基本構想を策定した。井口一郎市長はCCRC構想の中で、介護については全く考えなくていいという気持ちを持っている。アクティブシニアが健康で活躍すること、それが全体の健康につながるのだと。結果として介護保険や医療費の問題が解消されるという前提だ。さらに健康・貢献マイレージというポイントの導入を考えており、社会貢献活動も支援していく。

南魚沼版CCRCの概要。国際大学と連携しグローバル・コミュニティの形成を目指す。その先には若者の雇用創出も見据える(資料・南魚沼市)
南魚沼版CCRCの概要。国際大学と連携しグローバル・コミュニティの形成を目指す。その先には若者の雇用創出も見据える(資料・南魚沼市)
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 当面は400人・200戸のアクティブシニア移住を目指す。主に国際大学(編注:1982年に創立された日本初の大学院大学。留学生の占める割合は約8割にも上る)との連携により、既存住民との共生によるグローバル・コミュニティを形成していきたい。世界各国から集まる留学生の独身寮、家族の居室が一緒にある環境で、英語を話す機会が非常に多く、国際文化に溢れている。これら特徴のあるエリアをあえて作り出していく発想になる。

 これから、お試し居住を実施する。事業の運営実施主体に関しては、ぜひ民間にお願いしたい。市では事業主体と市民、ボランティア団体との連携をコーディネートしていく。

CCRCで新産業創出と雇用を創造、インドなどからIT企業を誘致

 我々のCCRCには新産業創出と雇用の創造という、もう1つの大きな目的がある。この目的が市にとっての地方創生の基軸事業たる所以でもある。先日、日経BPクリーンテック研究所、三菱総研の協力を仰ぎ「南魚沼CCRCビジネス研究会」を立ち上げたばかりだ。

 地方創生では若者の雇用創出が重要になる。南魚沼市では、ITを軸にしながらさまざまなビジネス創出をしていく。南魚沼CCRCビジネス研究会を通じてIT関連企業とのマッチングを図りながら、都会のベンチャー企業、地域の企業、さらにこれから起業したい皆さんとの意見交換の場を設ける。

 あわせて、インド、スリランカからIT企業を誘致し、2016年の7月に拠点をオープンする予定だ。敷地には市役所の出先庁舎跡地をあてる。2020年までの間に、70社まで誘致したい。これらが南魚沼CCRCビジネス研究会と連動することで、現実的なビジネス創出と海外展開が実現すれば、南魚沼市の持続的な成長につながる。アクティブシニアもビジネスチャンスを創出する機会が増えるはずだ。こうした点からも、CCRCは戦略の起爆剤になる(談)。