老朽化した市庁舎の建て替えを機に、移転して複合施設「オリナス」の建設という道を選んだ兵庫県西脇市。市長の片山象三氏は、コンパクトシティ化を進めるとともに、医師会をはじめ地元医療団体との強固な連携の下、生活習慣病やフレイル(虚弱)の対策を推し進め医療費や介護費用の伸びを抑えようとしている。実業界出身で、ビジネス感覚を生かして自治体経営に当たる片山氏に、オリナス建設の狙いや医療団体と連携するメリット、地域活性化やまちづくりについて尋ねた。

(写真:水野浩志)
(写真:水野浩志)

――2021年5月にオープンした市役所、市民交流施設、健康福祉連携施設からなる複合施設に「オリナス」という愛称をつけました。

 全国公募して決めたものです。いろいろな人が集い交流し、様々な活動が展開されることによって、彩り豊かなまちをともに「織りなす」きっかけになるようにとの思いを込めています。

 播州織や播州釣針といった地場産業を中心に発展してきた西脇市も、空き地・空き店舗の増加や人口減少・少子高齢化といった状況に直面しています。その中で都市機能の集約を図るべく「コンパクトシティ」を目指してきました。老朽化した市庁舎・市民会館の移転・建て替えを、にぎわいのある利便性の高い中心市街地形成の契機としてとらえたのです。

 移転しない案を含め、合計3カ所が候補地に挙がりましたが、最終的には同じ場所での建て替えと大型商業施設跡地への移転の2つの案が残りました。移転する場合の候補地は市の東側。ここなら市の西側にある図書館やコミュニティセンター、こどもプラザなどが入った複合施設、「みらいえ」と対をなす東の拠点となります。この2拠点と周辺の交通網を整備し、さらに商業施設を誘致することで、活力にあふれた人にやさしいコンパクトなまちづくりが可能になると考えたのです。

「オリナス」の外観(写真:水野浩志)
「オリナス」の外観(写真:水野浩志)
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――同じくまちづくりのコンセプトである「スマートウエルネスシティ」*に、複合施設はどう貢献しますか。

 オリナスには、2020年度から試行的に取り組み始めた健幸運動教室「Ni-Co(にこ)」のメーン会場を設置したほか、健康福祉連携施設には西脇市多可郡医師会なども入居しています。実は、当市の健康づくりの最大の強みは地元医師会等との強固な連携です。「Ni-Co」に参加して運動する場合に、かかりつけ医から運動可否判定書をもらうことを条件にしているのはその一例です。こうした仕組みは他の自治体にはないと思います。とりわけ、生活習慣病やフレイルのリスクが高い市民に積極的な参加を勧奨する上で、効果的な取り組みだと思っています。

* 「スマートウエルネスシティ首長研究会」(会長:藤井信吾・取手市長)が提唱している健康長寿社会の創造を目指す新しい都市モデル。発起人は筑波大学大学院の久野譜也教授。2022年1月24日時点で116自治体が加盟しており、西脇市の片山市長は副会長を務めている。