国内外のIT企業「サポーティングカンパニー」が県内企業と交流

――“DX脳”を、佐賀県で育てていくためには、大きく二つの方向性があると思います。一つは、県内の企業を育てること。もう一つは県外の企業を誘致すること。県内企業のレベルアップに関して佐賀県産業スマート化センターにはどのような効果を期待していますか。

 佐賀県産業スマート化センターは、2018年10月に開設しました。県内企業がAIやIoTといった先進技術を活用した新たなビジネス創出を促すのを支援することが最大の目的ですが、事業の趣旨に賛同いただける国内外のIT企業には「サポーティングカンパニー」として登録いただき、県内の企業と交流をしていただいています。

 サポーティングカンパニーは今では170社以上になっているのですが、そういった方々と交流する中でもまれているうちに、ある部分で“DX脳”が成長する人もいると思う。“DX脳”に関しては、「自分は持っていない」と思っている人が、もしかしたら持っているかもしれない。今までは、触発されていなかっただけかもしれないですから。

 世の中の革新的な変化というものに対して、佐賀県は新しい産業を生み出そうとしています。だから“DX脳”を持っている人と、それを最終的にビジネスに落とし込める人と、両者が合体することでイノベーションを起こしていきたい。佐賀県産業スマート化センターには、そのようなフィールドとしての役割も期待しています。

――一方で、県外企業の誘致も増えています。この成功の要因はどんなところにあるのでしょう?

 優遇制度などももちろん用意していますが、ユニークなのは企業誘致パーマネントスタッフ制度を独自で設けていることでしょう。この制度は、佐賀県の企業誘致を担当していた職員が、たとえ他の部署に異動になったとしても、誘致企業に対しては引き続きフォローアップ業務を担当させていただく制度です。

――その制度のどのようなところを評価されているのでしょうか。

 県外から来ていただいた企業の方にとって、信頼できる地元の人物が傍にいることはとても大事なことだと思います。行政はセクション主義なので、異動後に担当を外れるのは仕方がない。ただこれまで話をしてきた担当がそこで変わってしまうと、お互いにまた信用を築くところから始めなくてはならないじゃないですか。

 企業誘致パーマネントスタッフ制度は、「ずっとずっと佐賀県は友達でいる」ということを形にした制度だと考えています。水先案内人をずっと一人の人間が担うとも言えます。県外の企業の方が、新しく何かしたいということがあるとすれば、そのときは誘致の際に信頼を得たパーマネントスタッフが、様々なことをアドバイスして、ビジネスの拡張のお手伝いをします。

――佐賀県をこれからもっと活性化させていくためには、さらに多くのIT企業に進出して来てほしいというお気持ちはありますか。

 とてもあります。佐賀県は、ゲームやアニメとコラボレーションしたプロジェクトに取り組んでいて、若者の支持がとても高い県なんです。だからIT系企業とも親和性が高い。実際に、最近ではそういった企業が多く進出していますし、今後も様々な施策をうって進出につなげたい。

 元々、佐賀県は新しいものづくりが得意です。幕末には藩主自らがオランダ船に乗り込み、試行錯誤を重ねて国内初の反射炉や鉄製大砲を製造したり、日本初の実用蒸気船を建造したりしました。佐賀県が明治維新の中で重要な役割を担っているのは、あまり知られていませんが、こうした先進技術を取り入れる気風は今でもあると思っています。だから、この佐賀から新しい技術革新をやっていこうという方針で、かじを切っています。