地方行政の垣根が低くなっていく

――昨年11月、福山市は兼業・副業限定で市の戦略顧問を募集しました(関連記事)。これはある意味、究極の官民連携だと思います。公務員と民間との垣根が低ければ低いほど地方行政は円滑に進むのではないでしょうか。

 私もそう思います。これまでとは違う新たな分担を考えていきたいと思っています。今回は395人の応募がありました。これだけ多くの人が応募してくださったのは、一つは民間の大きな組織で働いている人が、自己実現の場を探しているからであることは間違いないでしょう。行政という非常に未知の分野が手を挙げたことに対し、どんな可能性が出てくるんだろう、自分の能力がどう開花するのだろうという期待感があるのかもしれません。それは、我々にとってもありがたい動機です。

 もう一つは、兼業・副業というやり方が、非常にトライしやすいスキームだったのではないかと思っています。

――市職員と市民の垣根が下がってきたとき、市の職員には何が求められるのでしょうか。

 行政不要論に行きつくのか、あるいは職員にとってもスキルアップのチャンスになっていくのか、受け止め方次第でしょうね。外の意見をどんどん取り入れながら、今までとは違った発想を持って働いてほしい。例えば、福祉の取り組みにしても、ただ市民を守るだけでいいのか、自立した納税者にしたいと思うのかで、事業の内容がまったく違ってきます。

――今後、市政の垣根はもっと下がっていくでしょうか。

 私はそう思います。市民と接する立場の我々が垣根を高くしていたのでは、市民のニーズを汲み取れるわけがありません。市民と同じ目線に立ち、現場に出向き、市民とひざ詰めで話して、困っていることを我がごととして政策に反映させる。これは自治体にしかできないことです。だから、垣根をもっと低くするのが理想でしょう。

枝広 直幹(えだひろ・なおき) 
福山市長
枝広 直幹(えだひろ・なおき)  1955年福山市生まれ。80年3月、一橋大学経済学部卒業。同年4月、大蔵省(現・財務省)入省。主計局主計官(国土交通省・環境省担当)、内閣審議官(地域活性化統合事務局長代理)、近畿財務局長などを歴任。2014年6月に財務省退官。製鋼原料商社のナベショー(大阪市)社長を経て、16年9月より現職。(写真:松田 弘)

■訂正履歴
初出時、本文で「協創」とありましたが正しくは「共創」でした。お詫び申し上げます。記事は修正済みです。 [2018/3/2 9:20]