賽の河原の石積み

 「何より良かったのは、こうした仕組みを用意したおかげで、行政とビジネス業界が密接に連絡を取り合える関係になったことです。面会、電話、メールなど様々な方法で日々質問や相談が寄せられます。それに丁寧に応えていく態勢ができてきている。これが今後の県の運営に大きな力となると考えています」

 これらの施策が功を奏したのか、山梨県は人口10万人あたりの感染者数が岩手県、鳥取県、秋田県に続いて4番目に少ない(21年2月1日現在)。首都圏に直結の地域でありながら、感染拡大の封じ込めに成功しているといえる。

 「2020年の春以降、大小多くの対策を打ってきました。今強く思うのは、これらが『賽の河原の石積み』になってはならないということ」

長崎幸太郎(ながさき・こうたろう)
長崎幸太郎(ながさき・こうたろう)
1968年生まれ。52歳。大蔵・財務官僚から05年に衆議院議員選に山梨2区より出馬し当選。自民党の政策補佐などを歴任後の19年に山梨県知事に当選
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 三途の川にある賽の河原には、たくさんの石が転がっている。しかし、いくら積んでも鬼がやってきて崩してしまう。

 「09年の新型インフルエンザ等対策特別措置法は、少なくとも山梨県では賽の河原の石積みになっていました。鬼はコロナだけではないでしょう。これから先、どんな鬼がやってきても壊せない石組みを作る。それが今の私に課された役目だと考えています」

 後半では「介護待機者ゼロ」を目指す山梨県の施策について聞く。介護待機者ゼロ──その思いの裏には知事自身の苦い体験があった。