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自治体トップが語る

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公民連携で必要なのは、「一緒にやりましょう」と言い切る勇気

前橋市長 山本龍氏に聞く

聞き手:坂井 敦=フリーランス【2017.4.27】

高齢者でも暮らしやすい市街地につくり変える

――“民”の力と言えば、2015年度からスタートした「前橋市市街地総合再生計画」でも、「民間主導型の開発」を基本方針に掲げています。計画の具体的な内容を教えてください。

 民間による再開発を促進してまち並みを整備するとともに、医療や福祉、商業、住居などの市民生活に必要な都市機能を中心部に集め、コンパクトシティを実現しようというものです。地方都市の共通の課題として、当市でも前橋駅前を中心とする市街地の空洞化が進んでいます。人口が減少し、閉鎖したビルや空き家、駐車場が目立つようになりました。コンパクトシティ化により、高齢者でも暮らしやすい市街地につくり変えることで、定住人口を増やしていきたいと考えています。

――どのように民間の投資を呼び込むのでしょう。

 市中心部の約140ヘクタールを市街地総合再生計画区域に、そのうちの約71ヘクタールを重点施策区域に定め、再開発事業の補助対象となる要件を緩和しました。例えば都市再開発法に基づく再開発事業の場合、これまでは5000m2以上の土地面積が必要でした。しかし重点施策区域内であれば、1000m2から認められるようにしました。また住宅の附置義務を緩和し、店舗ビルやオフィスビルも建てられるようにしました。

再開発事業の要件(資料:前橋市)
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――再開発によりまち並みや景観が乱雑にならないように、何か対策を講じていますか。

 再生計画では、重点施策区域を9つのゾーンに分け、各ゾーンの特性に応じた整備方針を定めています。例えば前橋駅から県庁へと向かう道路は、けやき並木が伸びるまちのシンボルストリートです。建築物のファサードデザインを誘導し、けやき並木と調和する明るく魅力的な都市景観にします。

 なかでも駅前に伸びるけやき並木通りは、市の表玄関となる場所です。私はここを、ありがちな「居酒屋チェーンや消費者ローンの看板だらけ」という光景にはしたくありません。前橋の良さは、駅を降り立つとけやき並木が出迎えてくれるところ。プロムナード性を高め、ウィンドウショッピングを楽しんだり、カフェテラスでくつろいだりできるような、魅力的な空間をつくっていきたいと考えています。

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市街地総合再生計画では、重点施策区域を9つのゾーンに分けて整備(前橋市の資料を編集部で一部加工)
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――再生計画の進ちょく状況はいかがでしょう。

 複数の計画が進行中です。2016年2月には、再生計画に基づく第1号事業として、賃貸マンションの「ケヤキテラス」が完成しました。17年3月には街の中心部の広瀬川沿いに、店舗5区画や多目的ホールを併設した総戸数120の分譲マンション「シティテラス前橋広瀬川」を住友不動産が着工しています。

 なかでも大規模なのが「JR前橋駅北口地区再開発事業」です。市や民間事業者など3者の所有する駅前の土地約4000m2に、駅前のランドマークとなるような地上26階地下1階建て、延べ床面積約2万8000m2の複合ビルを建設します。応募2社のなかからデベロッパーの大京が優先交渉権者に決定しました。マンションやサービス付き高齢者向け住宅、特別養護老人ホームなどの住居を中心とし、低層部には店舗や公共施設、交流広場なども備えた複合ビルです。減少傾向にある市街地の定住人口の増加につながると期待しています。

駅前のけやき並木通り沿いに立つケヤキテラス(表町2-18-1)。1階は店舗、2階以上は戸数12のファミリー向け賃貸マンション。地元企業と個人の4者が開発した(写真:前橋市)
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JR前橋駅北口地区再開発事業の完成予想図。分譲マンション:128戸、サービス付高齢者向け住宅:80戸、特別養護老人ホーム:72床(ショートステイ10床)、デイサービス、ウェルネス、店舗、公共施設、屋上庭園、交流広場、駐車場:約160台で構成。2020年度竣工予定だ(資料:大京)
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――市街地総合再生計画では、商業施設などを低層階へ誘導する方針を掲げています。しかし商業施設の郊外化が進み、市街地が空洞化している現状で、誘致が進むでしょうか。

 郊外へ移転したスーパーマーケットを、再び市街地に呼び戻そうと考えているわけではありません。イメージしているのは、市民が企画・運営するカフェやレストラン、物販店などです。前橋ビジョンで提案された飲食プロジェクトなどは、まさにそのイメージですね。

 目指しているのは、東京圏の都会のような都市ではなく、米国のポートランド*のような都市です。要するに暮らしやすいまちですね。東京のスピード感に合わない人たちが、移住の対象として来てくれるような、そういう環境づくりがしたいのです。

* オレゴン州の北西部の都市。環境に優しく、公共交通機関や自転車で移動しやすいまちづくりを進めている。全米で最も住みやすいまちとしてメディアにもしばしば取り上げられる。
山本 龍(やまもと ・りゅう)
前橋市長
山本 龍(やまもと ・りゅう) 1959年7月生まれ。前橋市立第三中学校、群馬県立前橋高等学校、早稲田大学商学部卒業。小渕恵三代議士秘書を経て、1995年群馬県議会議員に初当選。2007年群馬県知事選に出馬するが落選。2009年群馬県議会議員に再選。2012年2月前橋市長に就任。現在2期目。(写真:清水盟貴)
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