本当の先進予防型まちづくりをめざす

――スマートウェルネスタウンは「健康」をテーマにしていますが、その目的は何でしょうか。

 私は睦沢町の職員時代に国民健康保険を担当していましたが、最初は予算総額が2億~3億円だったのがあっという間に10億円になり、医療費がうなぎ上りでした。介護保険が始まるとこちらも8億円を超え、税収がないのにこれは大変なことになると思いました。どうしたら町民が健康で明るく笑顔で、自分のことは自分でできるようになれるのかと考えて、首長が集まる勉強会に参加する中で、健康について深く考えるようになりました。

 そこで、町民がここで新しい希望を見ながら健康でいられる町を作っていこうと健康条例をつくり、1日9000歩を歩くことを目標にしました。しかし、全員が目標を達成するのは絶対に無理。どうしたらできるかと考えたときに、官民連携でできないかということに気が付きました。そこで民間からの提案を求め、知らず知らずのうちに健康になってしまうまちづくりをしようということになりました。その時に千葉大学の近藤(克則)先生(関連記事)を知ったのです。

 近藤先生は科学的なエビデンスをもとに、新鮮な野菜とか果物をふんだんに食べたり、湯船に浸かる習慣があったりすればそれだけで健康にいいと話していました。今はインセンティブのためのポイント制度(先進予防型まちづくりプロジェクト【おでかけ健康ポイント】)をどう組み合わせていくかを実証実験しているところです。

 CHIBAむつざわエナジーによる利益を元に、町に健康器具を寄付してもらい、民間が指定管理をする総合運動公園「パークむつざわ」のトレーニングルームに設置しています。1日に20~30分乗れば、1時間以上運動したのと同じ効果があるという機械です。いずれは地域の集会所などにも置きたいと思います。それ以外にもボールを使ったり、ニュースポーツを採り入れて楽しみながら体を動かしたりするようなプログラムを作っています。地域のリーダーが集会所で高齢者と軽く運動するなど、そういうものを浸透させながら健康に意識を持ってもらおうとしています。温泉の料金は500円ですが、10ポイント貯めたら無料にするとかなどを考えています。

総合運動公園「パークむつざわ」のトレーニングルーム。指定管理者はスマートウェルネスパークむつざわ共同事業体(パシフィックコンサルタンツ、ウエルネスサプライ、R.project)(写真:加藤 康)
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――取り組みの成果は表れていますか。

 まだ始めたばかりなので、大きな成果までは見えてきませんが、アンケートの結果によると、1年前と比較し、5割以上の人が健康を意識するようになったと回答しています。本人は意識していなくても、自然と健康になっているというのが、本当の先進予防型まちづくりだと思います。

町民を対象にしたアンケートでは、1年前と比較して5割以上の人が「健康を意識するようになった」と回答した(出所:睦沢町)
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