スマートシティ構想とも連携

――岐阜市のクアオルト健康ウオーキングの取り組みは、スマートシティの推進とも連携しています。

 私は常々、様々な要素を複合し、掛け合わせてイノベーションを起こしたいと考えています。自治体の業務としても、AIやRPAを使って業務の効率化を図るなど、市民の利便性を高めて行くための様々な実証実験も行なっています。

 そうした中で、昨年11月に企業や大学などによる「スマートシティぎふ推進コンソーシアム」を立ち上げました。交通と健康を軸として、観光・オールドニュータウン等の課題を含め、ICTなどの新技術を活用しつつ、分野横断的に全体最適化を図り、「健幸都市ぎふ~出かけて健康になるまち~」の実現を目指しています。

 公共交通の自動運転の実証実験も昨年からスタートさせました。岐阜のまちで暮らす、観光するときに、将来的にこうした自動運転の公共交通も利用してもらい、クアオルト健康ウオーキングのコースのある岐阜公園、金華山にもJR岐阜駅からアクセスできるといったことも考えられます。やっと昨年公園内での走行実験を行ったところですが、2020年度には公道での実証実験をやりたいと考えています。現在、警察などと調整しているところです。

2019年11月には岐阜市初となる「小型の自動運転車両を用いた走行実験」を岐阜市金公園内で実施した(写真提供;岐阜市)
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 今まで点だった観光スポットが、クアオルト健康ウオーキングによってつながり、健康と観光を掛け合わせた新しい価値を提案できる。それをさらにスマートシティ構想に掛け合わせながら、スムーズにアクセスできる環境を作っていこうと思っています。岐阜市にはインフラが整備されているということはしっかりアピールしていきたい。インフラがありながらも自然もあるというのが岐阜の財産だと思うので、この強み生かしたいですね。

――スマートシティは市民にもプラスになりますね。

 人生100年時代に向け、スマートシティぎふ推進コンソーシアムで交通と健康を軸とした取り組みを進めることによって、市民の外出機会を創出して、シニアの方にも歩いて健康になってもらうことができると考えています。

――岐阜市の場合は、山村型ではない「都市型クアオルト」を標ぼうしています。これからどう展開していきますか。

 岐阜市がクアオルトに取り組む都市となったことには大きな意味があります。上山市や由布市は自然や温泉を存分に生かした中山間地域でのクアオルトであり素晴らしいと思っています。一方、私たちが目指すのは「都市型クアオルト」です。2027年にリニア中央新幹線が名古屋まで開通すると、東京から岐阜市までは、約1時間でアクセスできるようになり、アクセシビリティにおいて優位性を持てます。また、岐阜市という都市の中でもクアオルトの多面性を見せることができると考えています。岐阜市においては、中心市街地である柳ヶ瀬の真ん中に2022年度の竣工を目指し、30階建ての再開発ビルの建設を進めています。3階、4階が岐阜市の公共フロアとなり、3階には健康という切り口で、フィットネスや健康相談ができるエリアが作られ、中市民健康センターも入ります。

岐阜市では、市街地再開発事業を推進。高島屋南地区の再開発ビルや近くの金公園を「クアオルトの拠点として活用したい」と構想を語る柴橋市長(写真:日経BP 総合研究所)
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 この再開発ビルの南側には、金(こがね)公園という、本来セントラルパークの役割を持たせるべき公園があります。ここも竣工に合わせて改修しようと思っています。この公園を活用してコースを設置できれば、岐阜駅から歩いて15分くらいの中心街にクアオルトのコースができることになります。芝生を敷き詰めて落ち着いた空間にして、人が集まる公園に変えて、再開発ビル3階の健康運動施設とともに、まちなか歩きのウオーキングあるいはクアオルトへ向かう拠点とし、百々ケ峰や金華山の歴史や自然を堪能できる従来型のコースと、中心街の都市型のコースの両方を体験してもらうことができるようにしたいと考えています。

 クアオルトはドイツ語で「健康保養地」という意味ですから、1泊2日でなく、2泊3日、3泊4日と、滞在してもらって、市内のいろいろなウオーキングコースを体験してもらうこともできます。当然、クアオルトの人気が高まれば、今あるコースだけではキャパシティを超えますので、様々な都市型のコースや自然のコースを増やして行ければと思っています。

柴橋正直(しばはしまさなお)
岐阜県 岐阜市長
柴橋正直(しばはしまさなお) 1979年、京都市生まれ。大阪大学文学部卒業後、UFJ銀行に入行。2009年に衆議院議員に当選。2018年2月に岐阜市長に当選。妻、二男一女の5人家族