8つの劇場やシネマコンプレックスを備えた大規模開発から、地域の小さな公園の活用まで――。「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」を掲げ、池袋駅周辺地区を中心に豊島区内では大小さまざまなレベルで公民連携プロジェクトが進んでいる。就任して20年弱、巨額の赤字財政や消滅可能性都市の宣告など、重大な課題を突き付けられた豊島区を、人が集まる魅力あるまちへと導いてきた高野之夫区長に、公民連携によるまちづくりの秘訣を聞いた。
池袋駅東口エリアに劇場やシネコンが建設中
――池袋駅の東口エリアでは、旧本庁舎跡地などを利用した「Hareza(ハレザ)池袋」のプロジェクトが2020年春のグランドオープンに向けて進行中ですね。
事業計画地のうち、旧本庁舎と公会堂の跡地で民間と連携しています。駅から近く、地の利が良い。担当企業が100%の力をかけて取り組んでくれているところです。(関連記事:池袋が前代未聞の「劇場・ホール」街に変身!)
合計面積約6600m2の跡地に76年6カ月の定期借地権を設定して民間に貸与し、オフィス棟(地下2階、地上33階建て)と新ホール棟(地下1階、地上8階建て)を建設します。公募で選定した民間企業グループが、企画・設計・建設および民間施設などの運営を手掛けます。一括して前払いしてもらった定期借地の地代191億円は、15年に完成した新庁舎の事業に利用しました(詳しくは後述)。
隣接地で区が建て替えている新区民センター(地下3階、地上9階)と合わせ、ハレザ池袋には8つの劇場が誕生します。オフィス棟の低層部にシネマコンプレックスなど3つの劇場が、新ホール棟に宝塚歌劇や歌舞伎も上演する1300席の新ホールなど3つの劇場がそれぞれ入ります。このうち新ホールは完成後に区が買い取って運営します。区が建設する新区民センターには500人の多目的ホールと小ホールを設けます。
これら3つの建物の横に広がる中池袋公園は、19年秋の完成に向け、8つの劇場と連携したイベントやアニメの聖地としてリニューアル中です。