2017年に常総インターチェンジの供用が開始され、周辺の約45haを「食と農と健康」をテーマにした「アグリサイエンスバレー」として整備を進める常総市。市長自らが先陣を切って現場に赴くなど、民間事業者との関係構築にも熱心な神達岳志市長に、現在、注力している取り組みや公民連携を進めるための組織づくりのポイントについて話を聞いた。

(写真:加藤康)

――常総市で進めている様々な公民連携の取り組みのうち、まずは、規模の大きい「アグリサイエンスバレー構想(圏央道常総インターチェンジ周辺地域整備事業)」について、これまでの経緯と取り組みのポイントについて教えていただけますか?

 「アグリサイエンスバレー構想」は、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の常総インターチェンジ(IC)周辺に全体面積約45haの「食と農と健康の産業団地」として、まちづくりの拠点開発を進めようというものです。道の駅や民間集客施設と企業用地(食と農に関連した加工・流通系の企業を誘致)で構成する「都市エリア」、大規模施設園芸や観光農園など高生産性の農地で構成する「農地エリア」を整備し、2023年3月に全体オープン予定です。

 そもそもは、常総インターチェンジ周辺が超優良農地であったことから、通常の工業団地等の開発では農地の転用が不可とされていた中で、市の基幹産業である農業を活性化するまちづくりである「アグリサイエンスバレー構想」を策定したことが始まりです。この構想を実現するため、構想段階から完成までを見据えた事業協力者として、公募プロポーザルにより、戸田建設を選定し、公民連携事業がスタート、都市エリアの土地区画整理事業の認可が2018年3月に下りました。

 現在、都市エリアでは、戸田建設が一括業務代行方式で土地区画整理事業を進めており、造成工事の進捗状況は70%で、一部進出企業の建築工事も始まっています。また、農地エリアでは、市施行による水田から畑地化への土地改良事業が終了し、まもなく担い手となる2社が、大規模施設園芸や観光農園の大型ハウスの建築に着手します。

アグリサイエンスバレー事業 完成予想図(資料:常総市)

 市では都市エリアの中の約2ヘクタールで、道の駅の整備を進めており、農業を活かした新たなまちづくりの拠点施設として6次産業化に向けて取り組みます。道の駅では市内の農産物や地場産品を販売して地元に利益を還元することはもちろん、今までにない多くの人が訪れる交流の場となることから、道の駅の来場者を市内に誘導・回遊させるしくみづくりや農産物のブランド化など、市内広域の活性化につなげるための「じょうそう観光地域づくり事業」を始めます。

道の駅による地方創生拠点の形成イメージ。道の駅は地方創生や国土交通省などの補助金を活用しながら全体事業費は約16億円と試算している(資料:常総市)
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――市長が特に重視しているポイントはどこにありますか。

 ポイントは市民の皆さんの共感・共鳴をどれだけ得ることができるか、です。どんなに素晴らしい箱を作っても、箱の中身に魂を入れられるかどうかは「人」次第です。この2年間が1番大事な時期で、市民が主役になって「自分がこの場を盛り上げていくんだ」と思える場所にしていくことが重要だと考えています。そのために、この施設が市民のためのものであることを常に情報発信・共有していくことを念頭に置いています。

 発想の転換も重要です。これまで、多くの常総市民にとって、当市が「観光地域」であるという概念はなかったと言っていいでしょう。「これから、この施設を拠点に観光市になるんだ」「元からある地域資源に加え、地元のみんなでおもてなしをしてビジネスにするんだ」「そこには多くのビジネスチャンスがあるんだ」という意識を前向きに持っていただくことが必要です。