「宿場町構想」で、市役所の一部を町家に移転

――中心市街地の「大津宿場町構想」についても教えてください。

 琵琶湖と並ぶ大津の特徴は、東海道最大級の宿場町だったという歴史です。大津の中心市街地は戦災に遭っていないので、伝統的な町家が約1500棟残っており、そのうち200棟ぐらいは空き家と見られています。そのまま放置しておけば、いずれはなくなってしまうかもしれません。大津にとってかけがえのない財産ですから、なんとか保存活用を図りたい。昔の街並みの復活を目指す試みなので、「まちづくり」ではなく「まちもどし」と呼んでいます。

 取り組みの一環として、2017年4月に町家改修の宿の第一号「大津町家の宿 粋世(いなせ)」が誕生しました。市の「中心市街地活性化基本計画」に基づくもので、経済産業省への補助金申請をお手伝いしています。外国人観光客が多くいらしていて、私も話を聞いたのですが、町家に泊まることそのものが得がたい体験だと言ってくださいました。

 2018年6月には、大津駅から徒歩圏にある7棟の町家を改修した「商店街HOTEL 講 大津百町」がオープンしています(関連記事)。まちなかに点在しており、いかにも宿場町らしい宿泊施設になりました。大工さんを育てるクラフトマン・カレッジ、大家さんのための学校も開催されています。

 今後は、新たな活用策として、町家をスモールオフィスやコワーキング、ワーケーションやスタートアップに使って欲しいと考えています。そのモデルケースとして、今年5月に、市の都市再生課が町家を改装したオフィス「まち家オフィス結」に引っ越しました。都市再生課はまちづくりを担当する部署ですから、庁舎よりまちなかにいたほうがいい。加えて、従来の行政の在り方、カウンターを挟んで職員と市民が対峙するようなスタイルを変えたい思いもありました。

「まち家オフィス結」の外観と内観(写真:大津市)

 この「まち家オフィス結」は、コワーキングスペースを備えており、職員の席も決まっていないので、職員も訪れた市民の方も、同じ大きなテーブルの好きな場所に座って仕事をします。「宿場町構想実行委員会」のミーティングの場やワークショップにも使われます。官民の枠を取り払ってひとつのテーブルを囲み、まちづくりについて語り合う拠点ができました。

 ほかにも、昨年10月に開催した「リノベーションスクール@大津」の成果で、空き町家を活用した児童クラブとプログラミング教室ができる予定になっています。