<解説>介護SOSサービスを支えるケアサプライシステムズの運用体制

 24時間365日、電話1本で支援に駆け付ける介護SOSサービス。利用者には非常に便利である一方、サービスを提供する側にとって、人を常に待機させる必要があるなど体制整備は容易ではない。ケアサプライシステムズはどのように事業を回しているのだろうか。

 高崎市島野町に本社を構えるケアサプライシステムズは、高崎市を中心に、有料老人ホーム、デイサービス、認知症対応型グループホーム、訪問介護など、56の事業所を展開している。

 介護SOSでは、高崎市に在住の65歳以上のお年寄りを対象に、原則は既存に介護保険サービスを使っていない方々のお手伝いをする。

 ただ、「介護保険サービスを受けている方でも、そのサービス内では対応しきれない困りごとも発生します」と訪問介護・居宅事業部課長の中嶋友紀氏は語る。実際には、介護保険サービスを受けている人からの問い合わせもあるという。「電話をいただければまずはよく困りごとの内容を聞き取る。そして実際に訪問して対応します」(中嶋氏)。

 では、実際にはどういった相談事が多いのか。「ベッドから落ちてしまったとか、転倒したなどの場合、家族が慌ててしまうことがあります。ご自身でベッドや椅子に戻ることができればいいのですが、老老介護などでそれができないこともあります。かといって救急車を呼ぶほどでもない」(中嶋氏)。このようなときに介護SOSが便利だという。

 電話一本で、しかも1時間以内に駆けつける。このスピード感はどう実現しているのか。現場でケアにあたるのは、県内13カ所に拠点がある同社の「訪問介護ステーションわかば」のスタッフのうち約50人だ。「そのうち5〜6人が日々稼働するという仕組み。事前に出勤可能な日を申告してもらい、毎日のシフトを組みます。転倒など、緊急性の高い場合は近い場所で待機している方を優先的に回すこともあります」(中嶋氏)。

ケアサプライシステムズ訪問介護・居宅事業部の中嶋友紀課長(写真:末並俊司)
ケアサプライシステムズ訪問介護・居宅事業部の中嶋友紀課長(写真:末並俊司)

 携わる全員が介護スタッフなので、現場での対応は慣れたもの。「ただ、初めて訪問するお宅も多いので、お互いの安全安心を担保するため、原則2人一組で伺うように工夫しています」(中嶋氏)

 介護SOSは既に4年以上が経過したサービスだ。富岡市長の話にもあったように、スタート当初は相談の件数も少なかったが、認知度も上がってきた「最近ではお家の電話の近くにこのサービスの電話番号を貼り付けてくれるご家庭も増えているようです」(中嶋氏)。

 介護SOSは食事の準備や見守りなどの訪問サービスで、利用者の負担は1時間につき250円だ。宿泊サービスは1泊2食付きで2000円だ。不足分を市が事業者側に補助金という形で支払うシステムだ。内訳は午前8時から午後6時までの訪問サービスについてが2870円、それ以外が3960円。宿泊については1泊4000円だ。

 安心して子育てができる。安心して年をとれる。言葉でいうのは簡単だが、制度や仕組みは不完全だ。少子高齢化の諸問題はこの「安心」が担保できないからこそ起こっているものがほとんどだ。高崎市の取り組みの試みは、ひとつの方向性を示しているように見える。