インバウンドで利用者急増もコロナ禍で出直しに

(写真:山本 巌)
(写真:山本 巌)

――大分空港の発展について、これまでどのように取り組んできたのですか。

 ビジネスと観光で経済発展の基盤を整え、それを中心に大分空港を発展させる戦略をとっています。

 大分県は、1960年代からコンビナートの整備に取りかかり、鉄、石油、機械、造船など、基礎・素材産業の一大拠点ができました。そこを中心に経済発展を図りました。もう1つは企業誘致です。2003年から2020年までに520件の企業誘致があり、約2万2000人の新規雇用を生み出しました。これほど企業を誘致できたのは、キヤノンとダイハツが工場をつくってくれたことが大きい。裾野が広い産業なので、関連企業も一緒に来ました。

 観光振興も大切です。別府は、早い時期から国際観光拠点としての発展を目指しました。県のキャッチフレーズは「日本一のおんせん県おおいた・味力(みりょく)も満載」。大分県は、源泉の数も湧き出るお湯の量も、都道府県として日本一です。しかも自然が豊か。山海の珍味も楽しめるということで売り出しています。

着陸すると、ターミナル壁面に掲げられた「日本一のおんせん県おおいた・味力(みりょく)も満載」のフレーズが目に入る(左)。保安検査場でも「おんせん県」をアピール(写真:中川 美帆)
[画像のクリックで拡大表示]
着陸すると、ターミナル壁面に掲げられた「日本一のおんせん県おおいた・味力(みりょく)も満載」のフレーズが目に入る(左)。保安検査場でも「おんせん県」をアピール(写真:中川 美帆)
[画像のクリックで拡大表示]
着陸すると、ターミナル壁面に掲げられた「日本一のおんせん県おおいた・味力(みりょく)も満載」のフレーズが目に入る(左)。保安検査場でも「おんせん県」をアピール(写真:中川 美帆)
関アジ・関サバなどが有名な大分県。空港内のレストランでも、魚やしいたけといった特産品を使った郷土料理を提供している(左)。搭乗口の近くではキヤノンの製品を陳列(写真:中川 美帆)
[画像のクリックで拡大表示]
関アジ・関サバなどが有名な大分県。空港内のレストランでも、魚やしいたけといった特産品を使った郷土料理を提供している(左)。搭乗口の近くではキヤノンの製品を陳列(写真:中川 美帆)
[画像のクリックで拡大表示]
関アジ・関サバなどが有名な大分県。空港内のレストランでも、魚やしいたけといった特産品を使った郷土料理を提供している(左)。搭乗口の近くではキヤノンの製品を陳列(写真:中川 美帆)

――2018年度に、大分空港の旅客数は16年ぶりに200万人を超えました。

 200万人のうち、約14万人が外国からのお客様、インバウンドでした。14万人は少ない気もしますが、その前の3年間で7万人から14万人へと倍増しているのです。アジアの各地域に近いためか、特に台湾、韓国、中国からのお客様が増えました。

 2019年のラグビーワールドカップでは、東京都、神奈川県に次いで多い5試合を大分県で開催。すると、それまで少なかった欧米や大洋州のお客様がドッと来てくれました。アジアのお客様はずいぶんお金を使うなと思っていましたが、欧米のお客様はもっと使う傾向にあります。

――2020年からは新型コロナウイルス禍に見舞われています。

 今後の少子高齢化、人口減少を踏まえると、国内とアジアからのお客様に加え、欧米・大洋州のお客様を増やしていくことが大事だと考え、積極的に誘致していこうとした矢先でした。今、出直そうとしています。

大分空港には、全日空と日本航空のほか、ソラシドエアなど様々な路線が就航している(写真:中川 美帆)
大分空港には、全日空と日本航空のほか、ソラシドエアなど様々な路線が就航している(写真:中川 美帆)
[画像のクリックで拡大表示]

官民で「ホーバークラフト」を復活

――大分空港の弱点は。

 大分空港から主要都市の大分市、別府市まで時間がかかることです。観光でお見えになったお客様は景色を楽しむ余裕もありますが、仕事で来られたお客様はイライラされる。「空港からのアクセス、なんとかならないの?」とよく言われます。

 その解決策として、「ホーバークラフト」を運航します。ホーバークラフトは2009年まで、大分市内と空港との間で運航していましたが、当時はお客様が少なかった。ビジネス客は乗るのですが、それだけではなかなか…。すると運賃が高くなる。そして、ますます乗らなくなるという悪循環に陥ったこともあり、運航をやめました。

――ホーバークラフトが復活すると、時間の短縮以外では、どう変わるのですか。

 県がホーバークラフトを買い、それを貸与して、民間企業に運航していただきます。運航事業者に決まった第一交通産業(北九州市)のプランでは、現在の大分空港アクセスバス「エアライナー」と同じくらいの値段にするらしい。すると、お客様が増えるでしょうし、それに影響されてバスの運賃も下がるかもしれません。いろいろな意味で、アクセスがずいぶん良くなるのではないかと思います。

 第一交通産業が手がけるのですから、当然ながら、彼らはMaaS(マース)を考えています。空港からホーバークラフトに乗って(大分市側の発着地となる)西大分に着くと、タクシーなどの車に乗って、自宅や会社まで行く。そのサービスを一貫して、MaaSの考え方で運営していこうとしているわけです。利便性が高まるので良いと我々は考えています。

 また、MaaSにふさわしい拠点として、さらに空だけではなく宇宙までつながった空港として、ターミナルをつくります。

 ターミナルは、2025年の大阪・関西万博の会場デザインを手がける藤本壮介さんらのJV(共同企業体)の設計となります。しゃれていますよ。このまま宇宙に行けるのではないかと思うくらいです。

大分市側のホーバークラフトターミナルのイメージ(資料:藤本壮介建築設計事務所・松井設計JV)
大分市側のホーバークラフトターミナルのイメージ(資料:藤本壮介建築設計事務所・松井設計JV)
[画像のクリックで拡大表示]

 ヴァージン・オービットは、2022年に英国コンウォールからロケットを打ち上げるとしており、大分からも最速で2022年の打ち上げを目指しています。予定では、ホーバークラフトの運航開始(早ければ2023年度)よりも先になりそうです。宇宙港の機能を持つ空港とホーバークラフトとそこにつながるターミナルを一貫して見ると、空港の価値と人気は、ものすごく上がるのではないかと楽しみにしています。