キヤノンやダイハツに鍛えられた技術力を発揮

――大分空港の宇宙港化で、県はどのような役割を担うのですか。

 1つは、地元対策です。聞き慣れない「宇宙港」という言葉に対し、「大丈夫だろうか」と心配する人もいます。そのため宇宙港の構想などをお話しています。今はむしろ歓迎ムードです。

 もう1つの役割は、一定の作業を担うことです。飛行機にもロケットにも燃料を装填しないといけませんし、人工衛星を1つずつシステマチックに積んでいく必要もあります。そうした一定の作業を日本側でやることになるので、作業場や、燃料を積むためのトレーラーなどが必要になるでしょう。民間、国、県のどこがやるかは分かりませんが、民間でやるところがあればやってもらえばいいと思います。

大分空港内で存在感を放つ「宇宙港」の掲示(写真:中川 美帆)
大分空港内で存在感を放つ「宇宙港」の掲示(写真:中川 美帆)
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――課題は。

 飛行機にロケットを積んで上昇し、そこから人工衛星を打ち上げるという例は、これまで日本にありません。しかもそれを米国の最先端企業が持ってくるとなると、企業秘密の技術もあるでしょうし、それをどう保護するかなどは課題だと考えています。

――大分空港へのコンセッション導入についての見解を。

 役人が運営するよりも、民間の資金を活用しながら、民間の弾力的な発想で運営してもらった方が、地域に合って、もっと親しみが持てる楽しい空港になると思います。

 大分空港は、ビジネスあり、観光あり、ホーバークラフトありで、材料はかなりそろってきました。あとはコンセッションで民間の方がうまく料理をしてくだされば、メニューが充実するのではないでしょうか。コンセッションには、大いに期待しています。

――地域振興も期待できますか。

 大分空港が宇宙港になれば、人工衛星も大分空港に輸送されてきます。すると「部品が足りない」「ちょっと急いで修理してほしい」といったニーズがあるでしょう。大分県の企業は、かねてよりキヤノンやダイハツのもとで鍛えられているので、宇宙関係のニーズにも応えられると思います。データ開発などの企業も、大分に来る必要があるかもしれません。

 大分空港は、ビジネス、観光、そして宇宙港としてのニーズによって、価値が高まるでしょう。宇宙港からの広がりを、大分県の発展の大きな足掛かりにしていきたいと考えています。

広瀬 勝貞(ひろせ・かつさだ)
大分県知事
広瀬 勝貞(ひろせ・かつさだ) 1942年6月大分県日田市生まれ。1966年東京大学法学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。在スペイン日本大使館一等書記官、内閣総理大臣秘書官などを経て、1999年に通産省事務次官、2001年に経産省事務次官。2002年に経産省を退官。2003年から現職。2010年九州地方知事会会長就任(写真:山本 巌)