県民の活動に“ちょい足し応援”のスタンスで

――若者の流出を防ぐためには「魅力ある産業・企業を増やす」ということも課題の1つです。

 福井県は「中小企業王国」なので、大企業は多くない一方で、1982年から2019年まで、38年間連続で「社長の輩出率日本一」という記録を持ち、「起業家精神」の土壌があるのも特徴です。そうしたポテンシャルをうまく生かし、新たな産業や次世代のイノベーションにつなげていきたい。そこで、構築を進めているのが、「福井型エコシステム」。成功した経営者が新たな起業家に投資したり、メンターとして助言を行ったりするという仕組みです。

 またご存知の通り、福井は千年の昔から続く「ものづくり」の県でもあります。和紙や漆器、箪笥、打刃物など、越前市などの地域には様々な伝統工芸品が集積していますが、悩みは後継者不足。このサポートとして「伝統工芸職人塾」を立ち上げ、後継者を育成しています。このように、伝統産業や中小企業とのネットワークを大切にしながら、産業全体の付加価値を高めていく。これまでの「ものづくり」から「価値づくり」へと転換しながら、人材育成に取り組んでいきたいと思っています。

取材はオンラインで行われた
取材はオンラインで行われた

――福井県がSDGs施策を進める上で重要視しているものは何でしょうか。

 現場の声を拾い上げるコミュニケーションと、自治体と県民・民間との間のパートナーシップの構築が重要だと思っています。民間の様々な主体が、自発的にSDGsの課題に取り組み、その輪を広げていく。民間が存分に活躍できるよう、私たちが“ちょい足し”で応援する。「自治体はリーダーでなく、あくまでサポーターである」という認識で、施策を進めています。

 県としての役割は、県民の皆さん同士がネットワークを広げ、SDGsに対する活動を増やせるようにすることです。そのため、福井県がSDGs 推進の第一歩として行ったのが、「福井県SDGsパートナーシップ会議」の創設です。

県内企業をはじめ、教育機関やNPOなど約550の機関(2021年11月末時点)が登録する「福井県SDGsパートナーシップ会議」。参画するパートナー同士のコラボレーションも特徴だ
県内企業をはじめ、教育機関やNPOなど約550の機関(2021年11月末時点)が登録する「福井県SDGsパートナーシップ会議」。参画するパートナー同士のコラボレーションも特徴だ

 福井県SDGsパートナーシップ会議は、県内企業やNPOなどの団体、教育・研究機関などが参画する官民連携のプラットフォーム。参加機関は、自らが実行するSDGsの取り組みを宣言し、主体的な活動を実践しています。

 この会議では、パートナー同士が連携して、新しいアイデアや事業を立ち上げる活動も盛んです。例えば、包装資材会社と製紙所、障がい者就労事業所などの共同開発による、越前和紙の端材をアップサイクルした紙袋などが代表例です。このほか、仁愛大学(越前市)では、学生の企画・運営による「福井SDGs AWARDS 2021」など、SDGsの活動を加速するイベントも行われています。

 今後は、会議に参加する「SDGsパートナー」の活動をさらに支援して、子ども達が先端技術を学ぶ企業体験会や歴史・文化学習など、「ふくい未来人材プロジェクト」を進めていきたいと考えています。