40歳未満の若い世代も購入、資金の使途に高い関心

――どのような方が購入しているのですか。

吉浦 個人向けの購入金額のボリュームゾーンは、日本円で概ね10万円から100万円程度です。購入者は一定の資産をお持ちの高齢者の方が中心ですが、40歳未満の若い層もいらっしゃいます。若年層の関心を高めるため、PR動画を作成したり、証券会社と協力してSDGs債のセミナーを開催したりと、若い世代向けの販促活動も行ってきました。

東京グリーンボンドのポスター(資料:東京都)
東京グリーンボンドのポスター(資料:東京都)
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――2020年度の個人向けは、豪ドル建てでした。豪ドル建てにした理由を教えて頂けますか。

吉浦 2017年度は豪ドル、2018年~2019年度は米ドル、そして2020年度は再び豪ドル建てによる起債となりました。外貨建て債券としているのは、主に金利が理由。国内の超低金利傾向は続いており、円建てによる好金利の提供は難しい環境です。しかし、米ドルや豪ドル建てであれば、一定の金利を確保することができます。2020年度は米国で大統領選があり、先行きが見えにくかったなどから、豪ドル建てを選択しました。

――国内債券に比べ高い金利を享受できる外貨建て債券ですが、それでも東京グリーンボンドの利率は0.41%(税引き前)です。同じ期間5年の個人向け国債(0.05%、税引き前、円建て)よりも高い水準ではあるものの、外貨建て債券には為替リスクがあり、必ずしも有利だとは言い切れません。金利以外の人気の理由をどう分析していますか。

吉浦 1つ目は、都を応援してくれているファンが多いということ。東京都はグリーンボンド以前にも、都民などを対象とした「個人向け都債」を発行し、根強い人気を得ていました。同都債は、公共交通の整備などを発行目的としていましたが、「自分のお金を、目に見える形で、地元に役立てたい」と考える人は多いようです。

 もう1つは、資金の使途が「環境」であること。投資の世界では、環境、社会、ガバナンスを重視して投資先を選ぶESG投資が進んでいます。「グリーンボンドだから」購入している方は多いのだと思います。

 購入者の傾向として挙げられるのが、投資の意義に重きを置く人が多いこと。発行後、毎回アンケートを実施していますが、「東京グリーンボンドに何を希望しますか」との質問には常に「資金の使途について知りたい」という回答が上位に入っています。

■東京グリーンボンドの購入理由と希望
購入理由
・信用力の高さ 40.1%
・資金使途への共感 36.3%
・都の政策の応援 23.9%
発行意義にどの程度共感したか?
・共感した(「大いに共感した」「少し共感した」含む) 92.1%
東京グリーンボンドへの希望
・資金使途について知りたい 45.6%
・定期的に発行して欲しい 25.4%
・債券の安全性について知りたい 24.2%
(第4回東京グリーンボンド(外貨)購入者アンケート結果より)
■「東京グリーンボンド(外貨)」の発行概要
年限(通貨)/回号 5年(豪ドル)/第4回
発行額 1億3900万豪ドル(100億円相当)
利率 年0.410%(税引後利率 年0.326%)
売出期間 2020年11月20日から12月7日まで
利払日 年2回/6月・12月の2回
償還日 2025年12月5日
申込単位 1000豪ドル単位(1000豪ドル以上)
購入限度額 1人または1団体当たり500000豪ドル
購入対象者 東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県に在住または在勤・在学の個人の方、同エリア内に主たる事務所・事業所を有する法人、団体
(注)数字は第4回債のもの(2020年発行)。現在は購入できない。