「横浜スポーツタウン構想」で南北に都市軸を

――ベイスターズは、スタジアムを核としたまちづくりを目指す「横浜スポーツタウン構想」を掲げていますが、あらためてその方向性を聞かせてください。

 これまではスタジアムの賑わいはスタジアムに閉じていましたが、今はスタジアムの敷地でもある横浜公園との連携を進めています。さらにここに賑わいの(南北の)縦軸をつくることを目指しています。横浜港大さん橋から日本大通り、そして大通り公園という軸です。その中心となる関内の旧市街地では、横浜市庁舎がみなとみらい地区に移っていく中で再開発されていきます。

  さらに、関内駅の南側では横浜文化体育館の建て替えが決まっており、旧横浜総合高校の敷地と合わせてメインアリーナ、サブアリーナを整備する計画です。教育文化センター跡地に関東学院が設置する「オープンナレッジポート」にもスポーツ施設が入ると聞いています。そして我々は「THE BAYS(ザ・ベイス)」というスポーツ×クリエーティブをテーマとした交流拠点を横浜公園の向かいで運営しています。つまり、関内エリアにスポーツ関連の諸施設が集積していく。こうなると、都市の骨格はそのままに、スポーツというソフトウエアをみがき上げることで、より多くの意味を持つ可能性が出てきます。

関内駅周辺地区(赤枠内)の位置(資料:横浜市「関内駅周辺地区エリアコンセプトブック」より日経BP総研が一部加工)
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 我々としては、ベイスターズの魅力を空間的にも内容的にも拡充して、この都市軸に発信していきたいと考えています。取り組みは既に始めていて、ファンは試合だけでなく一日丸ごと、この関内エリアでベイスターズのコンテンツに触れて過ごすことができます。スタジアムで野球を観戦し、交流拠点「THE BAYS」で買い物や食事を楽しみ、オフィシャルホテルである「ホテル横浜ガーデン」に泊まる、といった過ごし方が可能です。

ホテル横浜ガーデン「横浜DeNAベイスターズ・オフィシャルホテルプログラム」の客室イメージ(写真:ホテル横浜ガーデン)
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THE BAYSの外観。横浜市の歴史的建築物を活用。スポーツクラブ、飲食・物販店舗、スポーツ産業の共創に特化した会員制シェアオフィス/コワーキングスペースで構成(写真:日経BP総研)
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 さらに範囲を広げると、スタジアムに足を運ぶ習慣のない市民の方も、ラッピング電車「ベイスターズトレイン ビクトリー号」(東京急行電鉄、横浜高速鉄道)に乗ったり、横浜駅周辺では、「相鉄ジョイナス」で買い物をするなかでオフィシャルショップの「ベイストア」に立ち寄ったり、横浜駅西口の「横浜ビブレ」に掲出された筒香嘉智選手の巨大装飾を見かけたりして、ベイスターズへの関心が高まるかもしれません。地域のソフトインフラとしての広がりをつくって、街中で自然にベイスターズ(関連のグッズやコンテンツ)に触れられるようにしていきたいですね。

――関内駅前からみなとみらい地区に市庁舎が移転すると、横浜スタジアムのある関内エリアのまちづくりは新たな局面を迎えます。

  市庁舎移転後の跡地活用は、空間をどうデザインするかが非常に重要だと思います。もしも我々がまちづくりに参画できるなら、人が歩ける空間づくりを大切にしたい。横浜公園の活用方法も従来の都市公園の使い方とは違ってくると思います。

  現在、関内駅の手前に市庁舎が建っているため、駅から横浜スタジアムを望むことができません。庁舎移転後に街区がどのように利用されるかは分かりませんが、もしも駅からスタジアムが一望できるようになれば、横浜の“玄関口”としてスタジアムの存在感が出てくると思います。

  ヨーロッパの主要都市も東京駅周辺も、人が多く集まる街には広場があります。関内エリアにも、市庁舎街区や(横浜スタジアムのある)横浜公園、日本大通り、そして大通り公園という広場空間から連なる都市軸がある。この南北の都市軸を我々が活性化できれば、元町は元町、中華街は中華街、馬車道は馬車道なりに、それぞれの個性を生かしておのずと発展していくでしょう。魅力的な旧市街があってこそ、みなとみらい21地区の先進的な個性が際立つように、エリア同士が持ち味を補い合う効果も期待できそうです。