公民連携、成功のカギは「偏見を取り除くこと」

(写真:加藤康)
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――まちづくりにおける行政との連携については、どのように考えていますか?

 私自身が行政の出身(2016年まで約20年にわたって旧郵政省、総務省に勤務)ですから、公共領域、公共空間は大きな課題だと認識しています。ベイスターズも営利企業である以上、企業として存続することを第一に考えなければなりませんが、その存続のしかたは、公共領域を支えることによって必要とされ続けるという形にしたいと思っています。私たち民間事業者も公共領域を担えるということを証明したいですね。

 ただ、「餅は餅屋」です。公共領域の事業を我々が手掛けていくには、公共性を追求して営利を考えずに取り組める自治体との連携が不可欠です。横浜スポーツタウン構想も、行政との連携なくしてはありえません。だからこそ、わが社は横浜市と(2017年3月にスポーツ振興と地域経済活性化などに向けた)包括連携協定を結びました。横浜スタジアムの改装に当たっては、市に規制緩和の形でご協力をいただきましたし、THE BAYS事業も、旧関東財務局横浜財務部の建物・中庭を市からお預かりして(15年間の定期建物賃貸借契約)管理・運営しているものです。

――公民の連携を成功させる秘訣のようなものがあるとしたら、どういったことでしょうか。

 行政も企業も同じ人間がやっていることで、あまり身構える必要はないと思います。心に巣食う偏見や懸念をなるべく取り払って向き合うことが大切ではないでしょうか。「民間だから(提案なども)どうせ金もうけのために違いない」「行政の人間は頭が堅い」といった偏見は、連携の障害になってしまいます。

 私たちもこの街に生きる人間であり、お客さんが喜んでくれて、街が盛り上がってくれたら、それが何よりの喜びなんです。行政の人が街に誇りを持ち、横浜が日本一、世界一の街になってほしいと願うのと、根底の思いは同じです。

 お互いにしっかりコミュニケーションを取ることが成功への近道でしょうね。私はよく「オンリー・コネクト」という言葉を使います。英国の作家、エドワード・モーガン・フォースターの「ハワーズ・エンド」の冒頭から借りた言葉で、ただ結びつけさえすればいいという意味です。例えば横浜市の公共セクターの誰かとわが社の従業員など、小さくとも結びつきを一つひとつ増やしていけば、世の中はおのずと変わると信じています。

岡村信悟(おかむら・しんご)
横浜DeNAベイスターズ代表取締役社長
ディー・エヌ・エースポーツ事業本部長、横浜スタジアム代表取締役社長を兼務。東京都出身。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1995年に郵政省に入省。総務省を経て2016年4月、ディー・エヌ・エー(DeNA)に入社。2016年10月より現職。