団地やマンション単位での子育てシェアも

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――デベロッパーと組んで、団地やマンションなどの単位で子育てシェアを導入する動きも出てきていますよね。

  2016年末からUR都市機構(都市再生機構)と連携し、横浜市のUR賃貸住宅「港北ニュータウンメゾンふじのき台」(約30年前に竣工した15棟から成る大規模マンション)で子育てシェアを導入しています。ここでは集会所でマンション住民と地域住民が一緒に参加できるイベントを開催するなど、地域交流の活性化に努めています。ここでの活動も2年目に入って、コミュニティ・リーダーは10人ほどが活動中です。月に2回の交流会があり、それ以外にもランチ会など小規模なイベントが頻繁に行われています。今後は周辺の商業施設などとのコラボを目指す一方、企業の福利厚生として産休・育休に入る社員と支援者のマッチングも構想しています。

  大阪府吹田市にある関電不動産開発の大型マンションでも連携が決まっています(マンションは、吹田市千里山にあったUR都市機構の団地跡地を開発したもので2019年3月販売開始)。家事代行マッチングサービスの「タスカジ」や、本を媒介にしたコミュニティづくりの仕組み「まちライブラリー」と共に、当社の子育てシェアも導入されることになっています。

  最近、住宅選びに関して、自宅と保育園や学童保育施設が近い「育住近接」というキーワードが注目されていますよね。これを実現するためのツールとして、子育てシェアへの注目も高まっているのではないでしょうか。

  こうした不動産物件単位での導入では、とても円滑に利用されているように感じます。お互いの顔が見える距離感のコミュニティであることが、導入がスムーズな要因かもしれません。

――子育てシェア事業は、何を指標に成果を評価していますか?

  私たちのミッションである「地域共助の促進」です。アプリを使って送迎や託児が行われた回数を指標としていますが、それだけで測れるものでもありません。認定サポーターの数、交流会に参加した人の数、サポーターが自主開催した交流会の数、アプリ登録数なども合わせて指標にしています。

アプリに「おすそわけ」機能など追加、参加ハードル下げる

――取り組みたい課題や改善点はありますか?

  当面はアプリの機能を拡充したいですね。共助はこれまで送迎・託児に特化してきましたが、これまでも実際には行われてきた「おさがり」「おすそわけ」「一緒に食事」といったものもアプリの機能として盛り込みます。いきなり送迎・託児はハードルが高いと感じる人に、段階を踏んで利用してもらえるのではないかと思います。並行して、テキストチャット機能の追加や多言語化も進めていきます。

――今後について、中長期的にはどのような構想がありますか?

  子育てシェアの仕組みを応用して、高齢者の生活のちょっとした不便を地域の共助で解決するような取り組みを考えています。

  「待機児童」という言葉も、もう10年もしたら死語になるかもしれません。一方で、高齢者がますます増えてくるなかで、その人たちが地域で必要とされながら生き生きと暮らしていくことが、より重要な社会課題になってきます。

  介護や生活保護は行政や専門事業者の領域ですが、生活支援に関しては高度な専門知識は必要ないので、地域共助を促進するオンラインサービスも有効なはずです。電球交換ができなくなったり、2階の物置が整理できなくなったりするのを、ご近所同士でフォローできるといいですよね。

  まずは子育てシェアにしっかり注力して、次はシニアをターゲットに。社会の今一番の課題を、マッチングの仕組みで解決していきたいと思っています。

甲田恵子(こうだ・けいこ)
AsMama代表取締役社長
甲田恵子(こうだ・けいこ) 大阪府枚方市出身。1998年に日本環境安全事業に入社。2000~2007年、ニフティにて海外事業企画、IRを担当。ITベンチャーのngi group(現在のユナイテッド)広報・IR室長を経て2009年11月にAsMamaを設立し現職。