「地方にも仕事はあるが、売り出す言葉をつくる力がない」

――熱中小学校の活動を通じて、地方で活躍できる人材の育成を刺激してきたわけですが、地方が経済的に自立していくにはまだまだ壁がある、困難があるとの意見もあります。これをどう突破していくのがよいのでしょうか

 「地方には仕事がない」という人が多くいますが、実際には仕事ってたくさんあるんです。何しろ人がいないわけですから。人手不足で回っていないということは、かつてそこには人がやっていた仕事があったということです。

 でも、お金に結びつけることに疎いケースが多い。例えば、都会から人がやってくると、人がいいから無料であちこちを案内して回る。お金は取らない。ネットを通じて地域の魅力を語れば、もっとお金を払ってでもやってきたい人がいるのに、ネットで語る言葉を持たないし、それを書けない。

 人が外から入ってくる前に「自分で売っていく」ことができるかどうか。インテリジェンスを使って、どう生き延びるかを考えねばならない時代です。幸いにして、熱中小学校ではさまざまなアイデアを元にした地元ならではの特産品を生み出す例が増えています。それを全国に流通させようと、「熱中通販」というようなEC(電子商取引)サイトも立ち上げました。これからさらに充実させねばならないと思っています。

熱中通販のウェブサイト(https://necchu-shogakkou.com/ec/)
熱中通販のウェブサイト(https://necchu-shogakkou.com/ec/)
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国に頼らない新しい地方創生への挑戦

――そもそも、なぜ、こうした事業を始めようと考えたのですか。

 2011年3月11日の東日本大震災が起きた後に、「日本はどうなるのか、自分に何ができるか」と考えて、まず東京で「オフィス・コロボックル」という個人事務所を構えました。そこを開放することで、いろんな人が知恵を出し合い、インテリジェンスで新しい何かを創っていくことを考え、その一つが「熱中小学校」となったわけです。優秀な才能ある人を集めることで、新しいことを生み出せる。それを全国に広げていった結果が熱中小学校であるとも言えます。

――その東京にあるオフィス・コロボックルを2019年末に閉鎖して、今度は宮城県丸森町に移転しました。その狙いは何でしょうか。

 熱中小学校という米国シアトルにまで広がったプロジェクトは一定の成果を生み出したという判断から、今度は新しいことに挑戦できないかと考えています。

 これまで熱中小学校は、国の「地方創生関係交付金」などを活用するケースがほとんどでしたが、その交付金も20年度で第1期が終了します。今度は、国の補助なしでもできることがないかと考えて、今年からはその方針で活動したいと考えていました。

 一つは、企業などと組んで、50代以降のシニア世代社員を地方にある企業に「インターンシップ」として派遣する仕組みづくりです。政府は70代になっても働いてほしいと思っているかもしれませんが、企業はやはり50代より上の世代が長くいても困ると思っている面もある。そこで、企業が早期退職支援などにかける資金を使って、経験のある有能なシニアを地方の企業で働く経験をしてもらう、というスキームです。